
外国人を海外から採用する際に必ず必要になる「在留資格認定証明書(COE)」。
この申請について、「自社の担当者でできるのか?それとも行政書士などの専門家に頼むべきなのか?」と悩む企業は非常に多いです。
結論から言えば、在留資格認定証明書の申請は自社でも可能ですが、案件の内容によっては専門家に依頼した方が圧倒的に有利なケースもあります。
この記事では、自社申請と専門家依頼の違いを実務レベルで解説し、「どのケースなら自社で対応できるのか」「どんな場合は依頼すべきか」という判断基準まで、わかりやすく整理していきます。
在留資格認定証明書(COE)は自社で申請できるのか
外国人を海外から採用する際に必須となる「在留資格認定証明書(COE)」ですが、まず結論から整理しておきます。
👉 COE申請は、自社の担当者でも申請可能です。
これは法律上も認められており、企業の職員が「代理人」として出入国在留管理局に申請書類を提出することができます。
ただし、ここで重要なのは「できるかどうか」と「やるべきかどうか」は全く別問題であるという点です。
実務では、
- 自社申請で問題なく通るケース
- 行政書士に依頼しないとリスクが高いケース
が明確に分かれています。
そのため本記事では、単なる可否ではなく、実務的な判断基準まで踏み込んで解説していきます。
自社申請(社内担当者対応)の実態とメリット・デメリット
自社申請とは何か
自社申請とは、企業の担当者(人事・総務など)が、外国人本人に代わってCOEの申請を行う方法です。
具体的には、
- 申請書の作成
- 添付書類の収集
- 入管への提出
- 結果の受領
までをすべて自社で行います。
つまり、行政書士を介さずにフル内製化する形です。
自社申請のメリット
① コストを抑えられる
最も大きなメリットはこれです。
行政書士に依頼すると、
👉 約10万円〜20万円程度の報酬
が発生します。
自社で行えばこの費用は不要です。
特に外国人採用を継続的に行う企業にとっては、コスト削減効果は大きいと言えます。
② 社内情報を外部に出さなくて済む
- 給与条件
- 事業内容
- 人事戦略
など、機密性の高い情報を外部に出さずに済む点もメリットです。
③ ノウハウが社内に蓄積される
一度経験すると、
- 必要書類の流れ
- 入管の見ているポイント
- 審査の傾向
が分かるようになります。
これにより、2回目以降の申請はスムーズになるという利点もあります。
自社申請のデメリット(ここが重要)
一方で、実務上はデメリットの方が重大です。
① 不許可リスクが高くなる
入管審査で最も重要なのは、
👉 「在留資格と業務内容の整合性」
です。
しかしこれを正確に理解していないと、
- 業務内容の書き方が不適切
- 職務内容が曖昧
- 学歴との関連性が弱い
といった理由で、不許可になる可能性があります。
そして一度不許可になると、
👉 再申請でさらに1〜3ヶ月
かかることも珍しくありません。
② 書類作成の負担が非常に大きい
COE申請は単純な手続きではありません。
必要となる書類は多岐にわたります:
- 雇用契約書
- 会社概要資料
- 決算書
- 業務内容説明書
- 理由書(重要)
特に「理由書」は、
👉 審査の合否を左右する核心部分
ですが、これをゼロから作るのは非常に難易度が高いです。
③ 審査が長引く可能性が高い
書類に少しでも疑問点があると、
- 追加資料提出(補正)
- 本省経伺(東京での再審査)
に回される可能性があり、結果として
👉 2〜3ヶ月以上かかるケース
も出てきます。
行政書士に依頼する場合のメリットと現実
行政書士に依頼するとはどういうことか
行政書士に依頼すると、
- 書類作成
- 理由書の作成
- 入管対応
- 全体のスケジュール管理
を一括して任せることができます。
最大のメリットは「許可率とスピード」
① 不許可リスクの大幅な低減
行政書士は、
- 入管の審査基準
- 過去の許可事例
- 不許可になりやすいポイント
を理解しています。
そのため、
👉 「通る書類」を前提に設計できる
のが最大の強みです。
② 理由書の完成度が圧倒的に高い
実務上、許可・不許可を分けるのは理由書です。
行政書士は、
- なぜこの外国人が必要か
- なぜこの業務が該当するか
を論理的に説明します。
これにより、
👉 本省経伺を回避できる可能性が高くなる
=審査期間短縮につながります。
③ 社内の負担がほぼゼロになる
企業側は、
- 必要資料の提供
- 内容確認
だけで済むため、
👉 人事・総務の負担が大幅に軽減されます。
2026年の法改正と注意点
2026年1月の行政書士法改正により、
👉 申請書類の作成は行政書士の専門業務であることがより明確化されました。
これは「自社申請が禁止された」という意味ではありません。あくまでも、「報酬を得て」「他人の依頼を得て」官公署に提出をする書類の作成や代行を行うことが禁止されたということです。
一方で外国人紹介業者を通さないで自社でやるということは、書類作成の
- 書類作成の専門性がより重視される
- 不適切な書類のリスクが高まる
という流れになっています。
つまり、
👉 「適当に作ると通らない時代」
に完全に移行しています。
自社申請と依頼の判断基準(実務的結論)
ここが一番重要です。
自社申請でも問題ないケース
以下に該当する場合は、自社申請でも十分対応可能です。
- 過去に同じ在留資格で許可実績がある
- 業務内容が明確(例:ITエンジニアなど)
- 企業規模が大きく信用力がある
- 社内に経験者がいる
👉 「過去に通っているパターンの再現」ならOK
行政書士に依頼すべきケース
以下はほぼ確実に依頼推奨です。
- 初めての外国人採用
- 中小企業・スタートアップ
- 業務内容が複雑・説明しづらい
- 学歴と業務の関連性が弱い
- スケジュールに余裕がない
👉 「少しでも不安があるなら依頼」が正解
実務で多い最適な進め方
実際の企業で多いのはこのパターンです。
① 初回は行政書士に依頼
② 書類・流れを理解
③ 2回目以降は自社対応
これは非常に合理的です。
理由は、
- 最初に失敗するとダメージが大きい
- 一度成功パターンを作れば再現できる
からです。
まとめ
- COE申請は自社でも可能
- ただし「できる」と「やるべき」は別
- 自社申請はコストメリットがあるがリスクも高い
- 行政書士は許可率とスピードを大きく改善する
- 初回は専門家、2回目以降は内製が現実的
最後に一番重要なポイントです。
👉 不許可になると、時間もコストも倍以上かかる
そのため、
「節約」よりも「確実性」を優先する判断が、結果的に最も合理的です。


