【2025年改正】標準労務費とは?建設業法の「労務費の基準」を具体例でやさしく解説

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2025年施行の改正建設業法で新たに位置づけられた「労務費の基準(いわゆる標準労務費)」制度。
これは、技能者の処遇改善とダンピング受注の防止を目的として導入された重要な仕組みです。

しかし、

  • 標準労務費って何?
  • 必ずその金額で契約しなければならないの?
  • 元請・下請それぞれにどんな影響があるの?
  • 実務上、見積書や契約書はどう変わるの?

と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

本記事では、改正建設業法における「労務費の基準」制度について、

✔ 制度の目的
✔ 何が義務で何が努力義務なのか
✔ 元請・下請それぞれの実務対応
✔ 具体的な見積例を使った解説

を、できるだけわかりやすく・具体例付きで丁寧に解説します。

「価格交渉」「下請契約」「積算」「経営事項審査」への影響も含めて整理しますので、これからの建設業経営に直結する内容としてぜひ押さえておきましょう。

「労務費の基準」(通称:標準労務費)は、2025年12月施行の改正建設業法で導入された 労務費の目安・基準値の制度 です。これは請負契約・見積りの際に使われ、著しく低い労務費での契約・見積りを禁止するとともに、技能者の適正な賃金確保をねらいとしています。

  • 建設現場で働く技能労働者に支払われるべき適正な労務費(賃金原資)を確保するための「基準値」
  • 公共工事だけでなく、民間工事や下請け取引にも適用される
  • 見積書では労務費を明示し基準と比較できるようにすることが求められる

日本の建設業界は以下のような課題がありました。

✔ 技能労働者の賃金が低く、担い手不足が深刻
✔ 価格競争で労務費が削られ、品質や安全への影響が懸念
✔ 伝統的に見積もり内訳が不明瞭で労務費が算出されにくい

これらを改善するため、労務費を「透明化」し、適正な労務費以上での見積・契約を促す制度として導入されています。


「標準労務費」は、次のような計算式で求めます。※基本的な考え方です。

労務費の基準 = 労務単価 × 歩掛(ぶがかり)

  • 労務単価:公的な基準の日当(例:公共工事設計労務単価)
  • 歩掛(ぶがかり):工種・施工内容ごとの標準的な作業量(人日/施工量)

📌簡単に言えば:

「1人の作業者(職人)が1日働いた費用(労務単価)」 × 「ある工事量をこなすのに必要な人日数」

で、その施工量に必要な労務費の標準値を算出するイメージです。


  • 労務単価(仮):24,000円/人日
  • 歩掛(仮):2.5人日/100㎡
    → 労務費基準 = 24,000円 × 2.5人日 = 60,000円
    (※この「60,000円」がその作業に要する標準労務費の目安)

→ 見積で労務費を30,000円しか計上しないような場合、標準値の半分であり不適正な可能性がある → 改正法上問題となる可能性有り


労務費の基準は原則として「労務単価 × 歩掛」ですが、実務上は次の要素も考えられます:

✔ 賃金(基本給+各種手当)
✔ 雇用にかかる会社側の経費(社会保険料等)
✔ 法定福利費や安全衛生費用
✔ 建退共掛金(建設業退職金共済制度)

これらは各職種・工種ごとの精緻な計算で扱われ、基準値算定に反映されていきます。


改正建設業法第20条では、見積書作成時に材料費+労務費+必要経費を内訳明示するよう努めることが義務化されています。

従来の「全体金額のみ・材工共」の慣行から脱却し、内訳を明示することで労務費の適正比率を検証可能にします。

「標準労務費」を下回る労務費での見積提出・契約は、建設業法違反となる可能性があります。違反が認められれば、発注者・受注者ともに国交省等から指導・勧告の対象となります。

この労務費基準は発注形態を問わず適用されるため、公共工事だけでなく民間工事・元請⇔下請関係にも影響があります。

労務費を標準値と照らし合わせることで、

  • 適正価格の見積りができる
  • 発注者にも説明しやすい
  • 低価格重視のみの競争を是正

といった効果が期待されています。

適正な労務費は「賃金水準の適正化」につながり、担い手の確保や技能者の待遇改善にも資するとされています。


  • 材工共(労務費が分離されない見積様式)では基準値比較が難しい
  • 基準値はあくまで「目安」であり、個別現場ごとに条件が異なる
  • 実際の標準値(都道府県×職種別)は国交省ポータルにて公開(労務費の基準値)

観点内容
制度名労務費の基準(標準労務費)
目的技能者の賃金確保/適正な労務費での契約
位置付け改正建設業法に基づく基準値制度
影響見積内訳の明示、低労務費契約の禁止
実務ポイント公表値と比較して見積を構築

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