遺産分割協議中に相続人が死亡したらどうなる?手続きの進め方を乙川顕寿が解説

遺産分割協議中に相続人が死亡した場合の対応について解説する記事のアイキャッチ画像 相続・遺言

亡くなった父の遺産分割協議を進めている最中に、相続人の一人が死亡してしまった――このようなケースでは、「協議はやり直しになるのか?」「誰が代わりに参加するのか?」といった疑問が生じます。

結論としては、死亡した相続人の「相続権」はその人の相続人へ引き継がれ、いわゆる「再相続(数次相続)」が発生します。そのため、遺産分割協議は一度中断し、新たな相続人を含めてやり直す必要があります。

この記事では、遺産分割協議中に相続人が死亡した場合の基本的な仕組みと、実務上の進め方についてわかりやすく解説します。

遺産分割協議を進めている途中で相続人の一人が亡くなった場合、この状態は法律上
「数次相続(すうじそうぞく)」と呼ばれます。

これは簡単にいうと、

・最初の相続(父の相続)
・その途中で発生した次の相続(相続人の死亡)

が連続して発生している状態です。

この場合、亡くなった相続人(一次相続人)が持っていた相続分は消えるわけではなく、
その人の相続人(二次相続人)にそのまま引き継がれます。

したがって、遺産分割協議は一度ストップし、新たな相続人を加えて進め直す必要があります。

① 二次相続人(新たな相続人)を確定する

まず最初に行うべきは、亡くなった相続人の相続人を確定することです。

具体的には、

・配偶者
・子
・場合によっては親や兄弟

などを戸籍謄本によって確認し、誰が新たに協議に参加するのかを明確にします。

この作業を誤ると、その後の協議が無効になるため、非常に重要なステップです。

② 相続人を追加して協議を再開する

次に、確定した二次相続人を含めて、遺産分割協議を再開します。

ここで重要なのは、
相続人は一人でも欠けていると協議自体が無効になるという点です。

つまり、

・元の相続人
・新たに加わった相続人

全員の参加と合意が必要になります。

③ 遺産分割協議書を改めて作成する

協議内容がまとまったら、改めて遺産分割協議書を作成します。

このときは、

・新しい相続関係を反映させる
・全員の署名・実印押印を行う

といった点に注意が必要です。

協議途中で死亡した場合

遺産分割協議がまだ成立していない段階で相続人が死亡した場合、
それまでの話し合いは法的には未完成と扱われます。

そのため、

・新しい相続人を含めて
・最初からやり直す

必要があります。

なぜやり直しになるのか

遺産分割協議は、

「相続人全員の合意」

によって初めて成立します。

途中で相続人が亡くなった場合、その人の意思は最終的に確定していないため、
有効な合意が成立していない状態と評価されるのです。

署名・押印が完了していれば有効

もし、亡くなった相続人が生前に、

・遺産分割協議書に署名
・実印で押印

まで完了していた場合、その協議はすでに成立しています。

この場合は、

新たに協議をやり直す必要はありません。

実務上の注意点

ただし、

・印鑑証明書が取得できるか
・協議書の内容に不備がないか

など、手続き上の問題がないか確認する必要があります。

相続人が一人になる場合

数次相続の結果、最終的に相続人が一人だけになるケースもあります。

この場合は、

・遺産分割協議自体が不要
・単独で相続手続きが可能

となり、「遺産分割協議証明書」などを使って、
直接名義変更ができる場合もあります。

相続関係が複雑化するリスク

数次相続では、

・相続人の人数が増える
・関係性が遠くなる
・連絡が取りづらくなる

といった問題が発生しやすくなります。

その結果、協議が長期化するケースも少なくありません。

戸籍収集は早めに行う

数次相続では戸籍の収集範囲が広がるため、
早めに着手することが重要です。

相続関係説明図を作成する

関係者が増えるため、

・誰が相続人なのか
・どのような関係なのか

を整理した「相続関係説明図」を作成すると、手続きがスムーズになります。

専門家への相談を検討する

数次相続は、

・法律関係が複雑
・手続きミスのリスクが高い

という特徴があります。

そのため、

・司法書士(登記)
・税理士(相続税)
・弁護士(紛争対応)

などの専門家に早期に相談することが、結果的に最も効率的です。

遺産分割協議中に相続人が死亡した場合は、

・「数次相続」が発生する
・亡くなった相続人の権利は、その相続人に引き継がれる
・新たな相続人を加えて協議をやり直す

というのが基本的な流れです。

ただし、

・すでに協議書が完成している場合は有効
・相続人が一人になる場合は例外的な処理が可能

といったケースもあります。

いずれにしても、手続きは複雑になりやすいため、
早い段階で正確な相続関係を把握し、適切に進めることが重要です。

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