札幌市就労Bの指定更新が要件化|条例遵守と工賃ルールの重要ポイントを乙川顕寿が解説

札幌の就労Bの申請要件厳格化について解説する記事のアイキャチィ画像 就労B

みなさん、こんにちは。
身体障がい1級の頸椎損傷で日常的に車いすを使用して暮らしている49歳の乙川顕寿(おとかわ あきひさ)と申します。

いま、札幌市の就労を取り巻く環境が激変しようとしています。冗談抜きで、来年には札幌市内の多くの就労Bがつぶれることになるかもしれません。障がいの当事者として強い危機感をもち、早期に警鐘を鳴らそうと思い本記事を書いています。

令和8年1月に札幌市から発出された通知により、就労継続支援B型事業所に対する運営基準が大きく見直されました。特に重要なのが、「条例遵守が指定更新の要件になる」という点です。

指定就労継続支援B型における条例遵守の徹底、指定更新の要件化等について

これまで形式的に運用されていた部分も含め、

・工賃の原資の考え方
・平均工賃3,000円の基準
・訓練等給付費の取扱い

などについて、明確にチェックされることになります。

さらに、令和9年4月以降は、基準を満たしていない事業所は原則として指定更新が認められないという厳しい運用が予定されています。

本記事では、札幌市の通知内容をもとに、就労継続支援B型事業者が今すぐ確認すべきポイントと、実務上の注意点を分かりやすく整理します。
「何を対応しなければならないのか」「どこがリスクになるのか」を具体的に把握したい事業者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

札幌市が発出した通知により、就労継続支援B型事業所の運営は大きな転換点を迎えました。最大のポイントは、「条例遵守が指定更新の要件として明確化された」という点です。

これまでも運営基準は存在していましたが、実務上は形式的な運用や解釈の余地が残っていた部分も少なくありません。しかし今回の見直しにより、単なる努力義務ではなく、「守っていなければ更新できない」という強いルールに変わっています。

特に重要なのは以下の点です。

  • 工賃の原資に関するルールの明確化
  • 平均工賃3,000円の最低基準
  • 訓練等給付費の不適切な充当の禁止
  • 生産活動収支の透明化

そして令和9年4月以降は、これらを満たしていない場合、原則として指定更新が認められません。

つまり今後は、「とりあえず運営していれば更新できる」という時代ではなく、「経営と支援の両方が適正であること」を証明できる事業所だけが生き残る構造になります。


札幌市の条例に基づき、更新可否の判断は明確な基準で行われます。

①工賃は生産活動収入から支払うこと

最も重要なポイントは、工賃の原資です。

利用者に支払う工賃は、
「生産活動による収入-必要経費」
から支払う必要があります。

ここで問題になるのが、実態として収益が伴っていないにも関わらず、形式的に工賃を支払っているケースです。

このような場合、収支構造が不自然であれば、条例違反と判断される可能性があります。実際に札幌市のホームページには行政処分された事例が掲載されています。

指定取消し及び指定の効力の停止

②平均工賃3,000円以上の維持

1か月あたりの平均工賃が3,000円を下回る場合、原則として更新不可となります。

この基準は低いように見えて、実務では意外とクリアできていない事業所も存在します。

特に以下のような事業所は注意が必要です。

  • 作業単価が極端に低い
  • 稼働率が低い
  • 作業内容が軽作業に偏っている

単に人数を増やすだけではなく、「収益構造」と「作業設計」の見直しが不可欠です。

③工賃向上への継続的な取組

札幌市は単なる基準達成ではなく、「工賃を上げようとしているか」という姿勢も評価対象としています。

つまり、

  • 利用者の能力に応じた作業提供
  • スキル向上を前提とした訓練設計
  • 生産性を意識した業務改善

これらが記録として残っていない場合、「努力していない」と判断される可能性があります。

重要なのは、“やっていること” ではなく “説明できること”です。

④訓練等給付費を工賃に充てないこと

これは今回の改正で特に厳しく見られるポイントです。

訓練等給付費を工賃の一部として充当することは、原則禁止されています。

もしこれを行い、

  • 工賃を高く見せている
  • 報酬区分を引き上げている

と判断された場合、本来との差額の返還を求められます。

これは単なる指導ではなく、「返還+信用低下」という大きなリスクに直結します。

一定の場合には例外的に更新が認められるケースもあります。

加算を算定している場合

以下の加算を算定している場合、初回更新に限り工賃3,000円基準が未達でも更新が認められる可能性があります。

  • 視覚・聴覚言語障害者支援体制加算
  • 高次脳機能障害者支援体制加算
  • 社会生活支援特別加算
  • 重度者支援体制加算
  • 集中的支援加算

ただし、他の基準(原資・給付費・努力義務)は必ず満たす必要があります。

利用者保護の観点で特例認定される場合

更新しなければ利用者の生活に重大な影響が出る場合、札幌市が個別に例外を認めるケースもあります。

ただしこれはあくまで例外であり、「頼れる制度」ではありません。

事業者としては、例外に依存するのではなく、基準を満たす体制構築が前提となります。

指定更新時には、生産活動収支報告書の提出が必須となります。

チェックされるポイント

提出書類では以下の点が厳しく確認されます。

  • 売上と工賃のバランス
  • 経費の妥当性        ←市場価格と乖離していたらダメ
  • 外注・委託契約の内容    ←親会社子会社の関係での偽装請負など

さらに必要に応じて、

  • 法人全体の決算書(損益計算者や貸借対照表など)
  • 契約書類

の提出も求められます。

つまり、「帳簿上つじつまが合っているか」ではなく、「実態として適正か」まで見られるということです。

関連会社との取引は特に要注意

親会社・子会社間や、役員が兼任している法人間の取引は、特に厳しくチェックされます。

  • 相場より高い発注
  • 不自然な利益移転
  • 実態のない取引

これらが認められた場合、指導・勧告・命令の対象となります。

みなさん、WAMNETや元気さーちにきちんと情報を登録及び更新していますか?
「そんなもん、誰も見てないでしょ」と面倒に思っているかもしれませんが、札幌市はかなりチェックしているようです。現に、情報不足の事業所を確認・把握しているといっています。

WAMNETや元気さーちでの情報公表も、今回の見直しで重要性が増しています。

未記載・虚偽はリスクになる

特に以下は必須項目です。

  • サービス内容の具体性
  • 平均工賃月額
  • 実際の支援内容

これらを全て「なし」で埋めるような運用は認められません

利用者が選択できる情報を提供することが義務となっています。

今回のルール強化で見落とせないのが、違反時のリスクです。

給付費の返還

不適切な工賃算定により高い報酬区分を適用していた場合、差額返還が求められます。

これは数十万〜数百万円単位になるケースもあり、経営に直撃します。

行政処分・指定取消

さらに悪質と判断された場合は、

  • 指導
  • 勧告
  • 命令
  • 指定取消

と段階的に処分が行われます。

特に在宅就労の不適切運用や、支援実態のないケースは厳しく見られています。

最後に、今すぐ確認すべき実務ポイントを整理します。

①工賃の原資を説明できるか

 ✅生産活動収入から支払っているか

 ✅給付費を混ぜていないか

②平均工賃3,000円を維持できるか

 ✅現状の収益構造で達成可能か

 ✅改善余地はどこか

③収支と記録が整っているか

 ✅収支報告書の整備

 ✅支援記録の蓄積

④情報公表が適正か

 ✅WAMNETの内容は最新か

 ✅実態と乖離していないか

今回の札幌市の方針は非常に明確です。

「利用者本位の支援」と「適正な経営」を両立している事業所のみが、今後も存続できるということです。

特に就労継続支援B型は、

  • 福祉サービスでありながら
  • 事業としての収益性も求められる

という難しさがあります。

しかし今回のルール変更により、「曖昧な運営」は通用しなくなります。

令和9年の施行までは猶予期間がありますが、逆に言えば「今から準備できるかどうか」で将来が決まります。

早い段階で体制を見直し、
・収益構造
・支援内容
・記録管理
を整備していくことが、これからの事業運営には不可欠です。

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