産廃許可申請にあたり、多くの建設業者が最初に疑問に思うのは「講習って何をするのか?」ということかもしれません。
- いつ、どこで受けるのか?
- 試験はあるのか?
- 不合格になることはあるのか?
- 合格率は?
- 受講料はいくらかかるのか?
- 更新時も講習は必要なのか?
北海道で産廃許可(収集運搬業)を取得する場合、原則として
公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センター(通称:JWセンター)が実施する法定講習を修了する必要があります。
この講習は、単なる形式的な研修ではなく、産廃許可の許可要件(能力要件)を満たすための重要な条件です。修了証がなければ、産廃許可申請は受理されません。
本記事では、北海道の建設業者向けに、
- どの講習を受けるのか(新規・更新の違い)
- 誰が受講すべきか(代表者?役員?)
- 受講日数・受講料
- 試験の内容と合否の決まり方
- 合格率の目安
- 申し込み方法
- 修了証の有効期限
- 産廃運搬許可更新時の講習との関係
をわかりやすく解説します。
前回の「人的要件(欠格要件)」に続き、今回は能力要件=講習修了にフォーカスしていきます。
産廃運搬許可申請をスムーズに進めるために、まずは講習制度の全体像を押さえていきましょう。
講習会の概要・法的根拠
産業廃棄物収集運搬業の許可を取得するためには、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」に基づき、申請者が廃棄物の適正な処理を行うために必要な知識及び技能を有していることが求められます。
この要件を満たすことを証明するために、指定された講習会を受講し、修了試験に合格して「修了証」を取得する必要があります。
- 実施機関:公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)
- 実施協力機関:公益社団法人全国産業資源循環連合会、各都道府県協会
(北海道の場合は「公益社団法人 北海道産業資源循環協会」) - 受講すべき講習:建設業者が産業廃棄物を運搬するために必要なのは「産業廃棄物収集・運搬課程」です。
講習会の種類(新規・更新)
講習会には大きく分けて「新規」と「更新」の2種類があります。間違えて受講すると許可申請に使用できませんのでご注意ください。
| 講習会の種類 | 対象者・内容 |
|---|---|
| 新規許可講習会 (収集・運搬課程) | 初めて産業廃棄物収集運搬業の許可を取得する場合許可を持っていない事業者が対象建設業者が最初に受けるのはこちらです |
| 更新許可講習会 (収集・運搬課程) | 既に許可を持っており、有効期限(5年)満了に伴う更新申請をする場合許可期間の満了日が近い事業者が対象 |
誰が受講すべきか(受講対象者)
講習会は「誰でも受ければよい」わけではありません。許可申請において、受講者としての資格要件を満たす人物が受講する必要があります。
【重要】受講対象者の要件
- 法人の場合:代表者、役員(監査役を除く)、または政令使用人(支店長・営業所長等で登記された者)
- 個人の場合:申請者本人、または政令使用人
※一般の従業員や現場担当者、現場責任者などが受講しても、許可申請には使用できません。受講自体は可能です。
建設業の場合の推奨:
基本的には「社長(代表取締役)」または「登記簿謄本に記載されている取締役」が受講することを強く推奨します。政令使用人を立てる場合は手続きが複雑になる場合があります。
講習会の開催形式(オンライン・対面)
現在は「オンライン形式」と「対面形式」の2種類から選択可能です。どちらを選んでも修了証の効力は同じです。
◆オンライン形式(2段階形式)
- 学習方法:事前にパソコンやタブレットで講義動画(約12時間)を視聴します。
- 視聴期間:試験日までであれば、何回でも、分割して視聴可能です(24時間視聴可)。
- 試験:動画視聴完了後、指定された日時に試験会場へ出向き、修了試験を受けます。
- テキスト:受講料入金確認後、約2週間程度で手元に郵送されます。
◆対面形式
- 学習方法:指定された会場に行き、講師による講義を直接受けます(2日間)。
- 試験:講義終了後、そのまま同じ会場で修了試験を受けます。
- テキスト:講習会当日に会場で配布されます。
◆どちらを選ぶべきか(比較・検討ポイント)
| おすすめのタイプ | 推奨形式 | 理由 |
|---|---|---|
| 多忙な社長・役員 | オンライン形式 | 自分の空いた時間に分割して視聴できるため、丸2日間の拘束を避けられます。 |
| PC操作が不安 一気に終わらせたい | 対面形式 | 会場に行けば強制的に講義が進むため、自己管理が不要です。PC環境の準備も不要です。 |
受講内容(カリキュラム)
新規許可講習会(収集・運搬課程)の内容は以下の通りです。合計約12時間の講義となります。
- 廃棄物処理法概論(行政概論):約4.5時間 ※最重要科目
法律の基礎、定義、委託基準、マニフェストなど - 環境・資源循環概論:約1.5時間
環境問題の現状、循環型社会など - 業務管理:約2時間
帳簿の記載、契約書、管理体制など - 安全衛生管理:約2時間
労働安全衛生、事故防止など - 収集・運搬:約2時間
運搬車両、容器、積替え保管基準など
修了試験について
講習の最後に行われる修了試験に合格しなければ、修了証は発行されません。
◆試験の概要(新規 収集・運搬課程)
- 総出題数:35問
- 試験形式:〇×式または四肢択一式(マークシート方式)
- 試験時間:約40分(説明等を含めると約55分拘束)
◆各科目の出題数
| 科目 | 出題数 |
|---|---|
| ① 行政概論 | 17問(約半数) |
| ② 収集・運搬 | 5問 |
| ③ 業務管理 | 5問 |
| ④ 安全衛生管理 | 5問 |
| ⑤ 環境概論 | 3問 |
◆合格基準(以下の3つの条件をすべて満たすこと)
- 条件①:行政概論で12点以上正解すること
- 条件②:その他の4科目(②~⑤)で0点の科目がないこと
- 条件③:全35問の合計で25点以上(約71%以上)正解すること
◆合格率と難易度
公式な合格率は公表されていませんが、業界では「9割以上が合格する」と言われています。落とすための試験ではなく、確認のための試験です。講義をしっかり聴き、テキストの重要ポイントを復習すれば十分に合格可能です。
◆不合格の場合の対応
- 試験日から約3週間後に結果通知が届きます。
- 万が一不合格の場合、2回まで再試験が可能です(有料:約3,000円)。
- 再試験はWeb上のマイページから申し込みます。
- 再々試験も不合格の場合は、講習会を最初から受講し直す必要があります。
受講料
2026年度(令和8年度)より、運営コストの上昇等に伴い受講料が改定されます。以下は改定後の料金です。
| 課程 | オンライン形式(税込) | 対面形式(税込) |
|---|---|---|
| 新規(収集・運搬課程) | 約 27,500円 | 約 33,000円 |
| 更新(収集・運搬課程) | 17,600円 | 22,000円 |
※支払方法:銀行振込、コンビニ決済、クレジットカード決済(Pay-easy等)
北海道での開催日程・会場(2026年度情報)
2026年度 スケジュール
開催日程公表日: 2026年3月10日(火) 9:00
申込受付開始日: 2026年3月24日(火) 9:00
◆主な試験会場(北海道)
- かでる2・7(北海道立道民活動センター) – 札幌市中央区
- 北海道経済センター – 札幌市中央区
◆会場選択の注意点
北海道の事業者であっても、全国どこの会場で受講・受験しても構いません。東京や大阪で取得した修了証でも、北海道知事許可の申請に使用できます。
人気の会場(特に札幌開催)は、受付開始直後に満席になることがあります。受付開始日(3/24 9:00)にすぐに申し込むことを強く推奨します。
申し込み方法(手順)
申し込みは全てインターネット(JWセンターWebサイト)から行います。郵送や電話での申し込みはできません。
STEP 1:事前準備
①受講する人(役員等)を決める。
②受講者の顔写真データ(スマホ撮影でOK、背景無地)を準備する。
③希望する受講形式(オンライン/対面)と日程を決める。
STEP 2:Web申込
JWセンターHP(https://www.jwnet.or.jp/workshop/)にアクセスし、「講習会・研修会」ページから申し込み手続きを行います。マイページ登録が必要です。
STEP 3:受講料の支払い
申し込み完了後、選択した方法(クレカ、コンビニ、振込)で受講料を支払います。
STEP 4:
テキスト受取(オンライン形式の場合)
入金確認後、約2週間でテキストが登録住所に郵送されます。
STEP 5:
講義受講
オンラインの場合はマイページから動画を視聴します。対面の場合は当日会場へ行きます。
STEP 6:
修了試験受験
指定された試験日時に会場へ行き、試験を受けます。
STEP 7:
修了証の受取
合格していれば、試験から約3週間後に修了証が簡易書留で郵送されます。
STEP 8:
許可申請
届いた修了証の原本(または写し)を添付して、行政書士へ提出(またはご自身で申請)します。
※複数人申込の場合:同一会場・同一日程に限り、最大10名まで団体申込が可能です。
修了証について
- 形式:A4サイズの紙の修了証です(顔写真入り)。
- 有効期限(新規):修了日から5年間
- 有効期限(更新):修了日から2年間(※一部自治体では5年の場合あり。北海道への申請時は要確認)
※許可申請時には、この修了証の添付が必須です。紛失しないよう大切に保管してください。
よくある注意点・落とし穴(建設業者向け)
【要注意】以下の失敗にご注意ください
- 申込開始日に出遅れて満席になる:
特に年度末や年度初めの札幌会場は競争率が高いです。カレンダーに登録しておきましょう。 - オンラインでも「試験は会場」:
完全在宅ではありません。試験日には必ず会場へ行く必要があります。 - 受講者が不適切:
「現場が忙しいから」と従業員に行かせても、その修了証では許可が取れません。必ず役員が受講してください。 - 修了証の有効期限切れ:
講習を受けてから5年以内に許可申請をしないと無効になります。 - スケジュールの逆算ミス:
「許可申請→修了証→講習会」の順で考えてはいけません。「講習会申込→受講・試験→修了証到着→許可申請」です。修了証が手元に来るまで申請はできません。 - 新規と更新の受講間違い:
初めてなのに安いからといって「更新」を受けても無効です。
許可取得までの全体スケジュール(目安)
2026年8月に許可申請を目指す場合のモデルスケジュールです。
- 2026年3月10日:JWセンターHPにて日程確認
- 2026年3月24日:Web申込完了・受講料支払い
- 2026年4月上旬:テキスト到着・動画視聴開始(オンラインの場合)
- 2026年4月下旬:修了試験(札幌会場等で受験)
- 2026年5月中旬:合格発表・修了証到着
- 2026年5月下旬:北海道庁へ許可申請書類提出
- 2026年7月頃:許可証交付(標準処理期間 約60日)
問い合わせ先・参照資料
- 講習会実施機関(申込先):
公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センター(JWセンター)
https://www.jwnet.or.jp/workshop/ - 北海道の協力機関:
公益社団法人 北海道産業資源循環協会
http://www.sanpai.or.jp/lecture/index.php - 許可申請先:
北海道 環境生活部 環境保全局 循環型社会推進課
※本資料は2026年度(令和8年度)の情報に基づき作成されています。最新情報は必ず公式サイトをご確認ください。


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