建設業の新制度「育成就労制度」とは?令和9年開始の内容と技能実習制度との違いを解説

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建設業界では、慢性的な人手不足が続く中、外国人材の受け入れはすでに欠かせない存在となっています。これまでその中心となっていたのが「技能実習制度」ですが、制度の趣旨と実態の乖離や人権問題などが指摘され、大きな制度見直しが進められてきました。

その結果、令和9年(2027年)4月から、新たに「育成就労制度」がスタートする予定となっています。この制度は、従来の技能実習制度を抜本的に見直し、「人材育成」と「人材確保」を明確な目的として設計されたものです。

特に建設業においては、外国人労働者の活用が現場運営に直結するため、この制度変更の影響は非常に大きいといえます。受け入れ方法、労務管理、キャリア形成、さらには企業のコンプライアンス体制まで、これまでとは異なる対応が求められることになります。

しかし、「育成就労制度とは具体的に何が変わるのか」「技能実習制度との違いは何か」「建設業として今から何を準備すべきなのか」といった点については、まだ十分に理解されていないのが実情です。

本記事では、育成就労制度の基本的な仕組みから、技能実習制度との違い、建設業における影響、そして今後求められる実務対応までを、わかりやすく詳しく解説していきます。

(出典:国土交通省2026)

現在の日本の建設業界では、多くの外国人が雇用されています。
現場が高齢化してゆき、若手の地術者が少なくなっている今、こういった外国人の労働者は非常に重要な人的資源となっています。

建設分野で活躍する外国人技能者の在留者数は約17万人で、全建設技能者数の約6%に当たります。在留資格別でみてみると、技能実習が最多で2025年の時点で約12万人。特定技能2号外国人は現在1,799人が在留しているようです。

国別でみると、ベトナム人が圧倒的に多いことがわかります。

2027年(令和9年)4月1日から施行される「育成就労制度」は、建設業を含む深刻な人手不足分野において、外国人材の確保と育成を目的とした新たな在留資格制度です。

これまで外国人材の受け入れの中心であった技能実習制度は、「国際貢献(技能移転)」を建前としていましたが、実態としては労働力確保の側面が強く、そのギャップが問題視されてきました。

以下に現行の特定技能の制度の流れを載せておきます。

育成就労制度では、この点が大きく見直され、

・人材確保
・人材育成

を正面から目的とする制度へと転換されます。

つまり、建設業においては、外国人材を「研修生」ではなく「戦力として育てる労働者」として扱うことが前提となる制度です。

また、制度は2027年にスタートした後、約3年間の移行期間を経て、2030年頃までに技能実習制度は完全に廃止される予定です。

育成就労制度の最大の特徴は、「特定技能1号への接続を前提とした制度設計」にあります。

3年間で技能習得→特定技能へ移行

制度の流れは以下の通りです。

① 育成就労(3年間)
② 修了後、特定技能1号へ移行(最長5年)

つまり、最大で8年間、日本で働くことが可能なキャリアパスが明確に設計されています。

さらに重要なのは、

・修了時の試験により一定の技能水準を確認
・条件を満たせば特定技能へスムーズに移行

できる点です。

従来の技能実習では段階的で分かりにくかったキャリア構造が、「育成→即戦力化」というシンプルな流れに整理されたといえます。

育成就労制度は、単なる名称変更ではなく、制度の根幹が大きく変わります。特に建設業に影響が大きいポイントを整理します。

目的の明確化(国際貢献 → 人材確保)

技能実習:国際貢献(建前)
育成就労:人材確保・人材育成(実態に即した目的)

この変更により、企業側には「育成責任」がより強く求められます。


転籍(転職)の自由度が大幅に緩和

技能実習では、原則として転職は認められず、例外的な事情のみでした。

しかし育成就労制度では、

・一定期間(1〜2年)経過後
・同一分野内(建設業内)

であれば転籍が可能になります。

これは建設業にとって非常に大きなインパクトがあります。

■メリット

・労働環境の改善圧力が働く
・優良企業に人材が集まりやすくなる

■デメリット

・条件の良い企業への人材流出リスク
・育成コストの回収が難しくなる可能性

つまり、「人を集める時代」から「人に選ばれる時代」へと変わることを意味します。


日本語教育の義務化

技能実習では努力義務にとどまっていた日本語能力について、育成就労制度では

・日本語教育の受講
・一定水準の習得

が求められます。

建設業では、

・安全管理
・指示の理解
・現場コミュニケーション

に直結するため、実務上非常に重要な変更点です。


試験制度の導入(教育の可視化)

育成就労制度では、

・入国前
・就労中
・修了時

に教育・評価が行われます。

これにより、「なんとなく働いている状態」ではなく、

・計画的な育成
・スキルの見える化

が求められます。


建設業は特に人手不足が深刻な分野であり、この制度変更の影響は非常に大きくなります。

キャリア育成プランの策定が必須になる

企業には、

「3年間でどのレベルまで育てるか」

という明確な育成計画が求められます。

これは単なる形式ではなく、

・技能習得の段階設計
・現場配置の計画
・教育内容の明確化

といった実務に直結します。


日本語教育・生活支援の体制整備

受入企業には、

・日本語教育の提供
・生活面の支援(住居・相談体制など)

が義務付けられる方向です。

これまで以上に、「雇用」だけでなく「生活支援」まで含めた体制構築が必要になります。


CCUSとの連動・評価制度の強化

建設業では、CCUS(建設キャリアアップシステム)との連動が進むとされており、

・技能レベルの見える化
・キャリアの蓄積

がより重要になります。

また、国としても、

・登録支援
・設備導入支援

などのインセンティブが用意される可能性があります。


制度開始は2027年ですが、今のうちから準備すべき事項は明確です。

「選ばれる会社」への転換

転籍が可能になる以上、

・給与水準
・労働環境
・人間関係

といった要素が重要になります。

単に受け入れるだけでは、人材は定着しません。


教育体制の整備

・OJTの仕組み化
・教育担当者の配置
・技能評価の仕組み

を整える必要があります。


コンプライアンス体制の強化

新制度では監理支援機関の要件も厳格化されるため、

・労務管理
・契約内容
・労働条件

の適正化が不可欠です。


この制度は、建設業にとって「リスク」と「チャンス」の両面を持っています。

リスク

・人材流出の可能性
・教育コストの増加
・管理負担の増大

チャンス

・優秀な人材の長期確保(最大8年)
・技能レベルの底上げ
・企業の差別化

特に重要なのは、「制度に適応した企業が勝つ構造」になる点です。


育成就労制度は、単なる制度変更ではありません。

建設業に対して、

・人材を育てる責任
・人材に選ばれる環境づくり

を求める大きな転換です。

これまでのように、

「来てもらう」「囲い込む」

という発想ではなく、

「育てる」「定着させる」

という経営戦略が不可欠になります。

制度開始までの数年間は、準備期間であり、差がつく期間でもあります。
今から体制を整えた企業こそが、将来の人材確保競争を勝ち抜くことになるでしょう。

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