特定事業所加算の人材確保に活用できる|キャリアアップ助成金(正社員化コース)を徹底解説

障がい福祉の居宅介護で特定事業所加算の取得申請における 研修費の補助金について解説する記事のアイキャッチ画像 福祉施設(障がい・児童)

居宅介護事業所が特定事業所加算を取得するための体制整備を進める場合、
大きなテーマの一つになるのが 人材の確保と定着 です。

実際に多くの事業所では、

  • 非正規職員が多く人材が定着しない
  • 経験のある職員を正社員として確保したい
  • 研修を受けさせて戦力化したいが費用負担が大きい

といった課題を抱えています。

このような場合に活用できる代表的な制度が
「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」です。

この助成金は、

  • 有期雇用職員
  • パート・アルバイト
  • 派遣職員

などを 正社員へ転換した場合に国から助成金が支給される制度であり、
人材確保と職員定着を目的として設けられています。

特に介護・障がい福祉分野では、

  • 職員の定着率の向上
  • 人材育成の促進
  • 安定したサービス提供体制の構築

といった観点から、非常に活用されることの多い助成制度となっています。

この記事では、障がい福祉サービス(居宅介護)の事業主の方向けに、

  • キャリアアップ助成金(正社員化コース)の制度内容
  • 助成額と対象となる労働者
  • 申請手続きの流れ
  • 申請する際の注意点
  • 申請の難易度
  • 他の助成金との併用可否

について、実務での活用を前提に詳しく解説します。

特定事業所加算の取得を進める際に、
人材確保や研修体制の整備にかかる費用負担を軽減する方法として参考にしてください。

  1. キャリアアップ助成金(正社員化コース)の制度概要
  2. 支給額一覧(令和7年度・中小企業の場合)
      1. 重点支援対象者を転換する場合(2期に分けて支給)
      2. 重点支援対象者以外を転換する場合(1期のみ支給)
      3. 加算措置(1事業所1回のみ)
    1. 【活用シミュレーション例】
  3. 重点支援対象者とは何か ― 最大支給を狙うためのポイント
    1. a. 雇入れから通算3年以上経過している有期雇用労働者
    2. b. 雇入れから3年未満の有期雇用労働者で、以下の①②をどちらも満たす者
    3. c. 以下の特定の属性を持つ労働者
      1. ① 派遣労働者
      2. ② 母子家庭の母、または父子家庭の父
      3. ③ 「人材開発支援助成金」の特定の訓練を修了した者
  4. 支給要件(申請するために必要な条件)
    1. 事業主側の要件
      1. 1. キャリアアップ計画書の事前作成・提出
      2. 2. 就業規則への転換制度の明記
      3. 3. 転換後6ヶ月以上の継続雇用
      4. 4. 賃金3%以上増額の要件
      5. 5. 正社員の処遇要件(賞与・退職金・昇給)
      6. 6. 社会保険の加入
    2. 労働者側の要件
      1. 1. 非正規雇用期間の要件
      2. 2. 申請時点で在籍していること
      3. 3. 親族関係の制限
      4. 4. 過去の正規雇用の制限
      5. 5. 新規学卒者の除外(令和7年度改正)
  5. 申請の手順(ステップバイステップ)
    1. STEP 1【事前準備】キャリアアップ計画書の作成・提出
    2. STEP 2【就業規則の整備】転換制度の規定と届出
    3. STEP 3【転換の実施】正社員への登用
    4. STEP 4【6ヶ月の継続雇用と賃金支払い】
    5. STEP 5【支給申請】
  6. 申請の際の注意点
    1. 1. 「計画書より先に転換してはならない」絶対ルール
    2. 2. 3%賃金増額要件の確認
    3. 3. 正社員の処遇要件(賞与・退職金・昇給)の明文化
    4. 4. 申請期限(2ヶ月)の厳守
    5. 5. 会社都合退職者の禁止
    6. 6. 新規学卒者1年未満の除外(令和7年度改正)
    7. 7. 書類の保管と正確な労務管理
  7. 申請難易度の評価と対策
    1. 難易度: ★★★☆☆(中程度)
    2. 難易度が生じる主な理由
    3. 難易度を下げるための対策
    4. 結論
  8. 「人材開発支援助成金」との組み合わせ(強力な併用戦略)
    1. 組み合わせの概要
    2. 人材開発支援助成金の概要
      1. 対象となる訓練
      2. 支給額(中小企業の場合)
    3. 組み合わせによるメリット
    4. 特定事業所加算との連動
      1. 【戦略の流れ】
    5. 並行申請の注意点
    6. eラーニング活用のメリット
    7. おすすめの研修テーマ(居宅介護事業向け)
  9. その他の組み合わせ可能な助成金について
    1. 1. 特定求職者雇用開発助成金(就職困難者コース等)
    2. 2. キャリアアップ助成金の他コース
    3. 3. 障害者雇用納付金制度に基づく助成金
    4. 併給調整の注意点
  10. まとめ・活用ロードマップ
    1. Phase 1: 準備期(転換前)
    2. Phase 2: 転換・研修期
    3. Phase 3: 申請期
    4. Phase 4: 加算要件達成
    5. 【試算例: 1名の職員を正社員化した場合の助成総額】
  11. 最後に

キャリアアップ助成金は、厚生労働省が運営する助成金制度で、非正規雇用労働者(有期雇用・パートタイム・派遣)の正規雇用への転換または処遇改善を行った事業主を支援するものです。特に「正社員化コース」は、介護・障がい福祉事業において非常に多く活用されています。

居宅介護事業において特定事業所加算を取得・維持するためには、介護福祉士などの有資格者を一定割合以上配置する要件があり、そのためには職員のキャリアアップ(資格取得・研修受講)が不可欠です。このキャリアアップを図るうえで職員を正社員化することは、職員の定着率向上・モチベーションアップに直結します。キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、その正社員化にかかる企業側の追加コストを補助してくれる制度です。

令和7年度(2025年4月以降)から制度が大幅に改正されています。最大のポイントは重点支援対象者」という区分が新設されたことです。

重点支援対象者に該当する非正規労働者を正社員化した場合には、
中小企業で最大80万円が支給される一方、それ以外の労働者を正社員化した場合は40万円(1期のみ)に減額されました。この「重点支援対象者」を意識した人事戦略が、令和7年度以降の活用のカギとなります。

重点支援対象者を転換する場合(2期に分けて支給)

転換内容支給総額支給方法
有期雇用 → 正規雇用80万円40万円 × 2期
無期雇用 → 正規雇用40万円20万円 × 2期

重点支援対象者以外を転換する場合(1期のみ支給)

転換内容支給総額支給方法
有期雇用 → 正規雇用40万円1期のみ
無期雇用 → 正規雇用20万円1期のみ

加算措置(1事業所1回のみ)

加算内容加算額
正社員転換制度を新たに就業規則に規定20万円
多様な正社員制度(勤務地限定・職務限定・短時間正社員等)を新規規定40万円

支給上限: 1事業所あたり年度内最大20名まで

【活用シミュレーション例】

居宅介護事業所で、3年以上勤務しているパートタイムのホームヘルパー3名を正社員化した場合:

  • 3名全員が「重点支援対象者a(雇入れから3年以上)」に該当
  • 1名あたり80万円 × 3名 = 240万円
  • さらに就業規則に多様な正社員制度を新規規定した場合: 240万円 + 40万円 = 280万円

このように、適切な計画により、人件費増加分を大幅にカバーすることが可能です。

2025年度から新設された「重点支援対象者」区分について詳しく説明いたします。

以下のa~cのいずれかに該当する労働者が「重点支援対象者」となります:

a. 雇入れから通算3年以上経過している有期雇用労働者

最もシンプルかつ該当者が多い区分です。居宅介護事業では、長年パートタイムやアルバイトとして勤務しているホームヘルパーが多く、この要件に該当するケースが非常に多いです。

  • 雇用契約の「通算期間」で判断されるため、契約更新を繰り返している場合も通算で3年以上であれば対象
  • 週20時間未満の短時間勤務であっても、雇用期間で判断されます
  • 雇用契約書・労働条件通知書で雇入れ日を証明できることが重要

b. 雇入れから3年未満の有期雇用労働者で、以下の①②をどちらも満たす者

①過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下
②過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない

該当例:

  • 子育てや介護などで長期間パート勤務を続けてきた方
  • 他業種から介護業界へ転職し、パートとして働き始めた方
  • 以前は正社員だったが短期間で退職し、パートとして再就職した方

ポイント:

  • この区分は「正社員経験が少ない」ことを重視した要件です
  • 本人からのヒアリングや職務経歴の確認が必要

c. 以下の特定の属性を持つ労働者

① 派遣労働者

派遣会社から派遣されている労働者を直接雇用(正社員化)する場合、雇用期間に関わらず重点支援対象者となります。

② 母子家庭の母、または父子家庭の父

母子及び父子並びに寡婦福祉法の対象者です。本人からの申告と証明書類の提出が必要です。

③ 「人材開発支援助成金」の特定の訓練を修了した者

これが最も戦略的に活用できるポイントです。

人材開発支援助成金の以下のコースの訓練を修了した労働者は、雇用期間に関わらず重点支援対象者として認められます:

  • 事業展開等リスキリング支援コース
  • 人材育成支援コース(有期実習型訓練)
  • 人への投資促進コース(高度デジタル人材訓練等)

居宅介護事業での活用戦略:

新しく採用したパート職員や、まだ3年未満のパート職員でも、人材開発支援助成金対応のeラーニング研修(10時間以上のDX研修・介護技術研修等)を受講・修了させることで、即座に重点支援対象者の要件を満たすことができます。

この方法により:

  • 研修費用そのものが人材開発支援助成金で補助される
  • 研修修了後の正社員化でキャリアアップ助成金80万円が受給できる
  • 職員のスキルアップも同時に実現できる

という「三方よし」の効果が得られます。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)を受給するためには、以下の要件をすべて満たす必要があります。

事業主側の要件

1. キャリアアップ計画書の事前作成・提出

転換実施日の前日までに、管轄の労働局に「キャリアアップ計画書」を提出していることが必須です。計画書には以下を記載します:

  • キャリアアップ管理者の氏名・役職
  • 計画期間(3~5年)
  • 対象となる有期雇用労働者等の人数
  • 正社員転換の予定時期・方法
  • 賃金改定の方針
  • 取組を実施する事業所

労働組合がある場合は、組合の意見聴取が必要です。組合がない場合は労働者代表の意見聴取を行います。

【重要】 この計画書提出を忘れて先に正社員化してしまうと、どれほど他の要件を満たしていても助成対象外となります。

2. 就業規則への転換制度の明記

就業規則または雇用管理規程に「非正規雇用労働者の正社員転換制度」を明文化し、管轄の労働基準監督署へ変更届を提出していることが必要です。

規定すべき内容:

  • 転換の対象者(有期雇用・無期雇用等の区分)
  • 転換の時期・タイミング
  • 転換の手続き(試験・面接等の選考方法)
  • 転換後の労働条件(賃金・賞与・退職金・昇給・勤務時間等)

施行日は必ず転換実施日より前の日付にしてください。遡及適用は認められません。

3. 転換後6ヶ月以上の継続雇用

正社員転換後、雇用保険被保険者として6ヶ月以上継続して雇用することが必要です。重点支援対象者で2期目を申請する場合は、さらに6ヶ月(合計12ヶ月以上)の継続雇用が必要です。

この期間中に以下の事態が発生すると不支給となります:

  • 本人が自己都合以外の理由で退職・解雇された場合
  • 事業所内で会社都合による退職者が1名でも発生した場合
  • 長期欠勤(30日以上)が発生した場合

4. 賃金3%以上増額の要件

正社員転換後の6ヶ月間の賃金総額を、転換前の6ヶ月間の賃金総額と比較して、3%以上増額させることが必須です。

計算対象となる賃金:

  • 基本給
  • 定額手当(職務手当・役職手当・資格手当等)

計算対象外の賃金:

  • 通勤手当
  • 時間外手当・休日手当・深夜手当
  • 家族手当・住宅手当(実費補填的なもの)
  • 賞与(算定期間外のため)

計算方法:

転換前6ヶ月の賃金総額: A円
転換後6ヶ月の賃金総額: B円
B ÷ A ≧ 1.03

【注意】 1円でも不足すると不支給となります。計算は慎重に行ってください。

5. 正社員の処遇要件(賞与・退職金・昇給)

転換後の正社員には、以下の処遇が適用されていることが必須です:

  • 賞与または退職金の制度」かつ「昇給

つまり、以下のいずれかの組み合わせが必要です:

  • 賞与制度 + 昇給
  • 退職金制度 + 昇給
  • 賞与制度 + 退職金制度 + 昇給

これらは就業規則・賃金規程・雇用契約書に明記され、実際に適用されている必要があります。口約束や慣行では認められません。

昇給については「定期昇給制度」または「人事考課による昇給制度」のいずれかが規定されていればOKです。

6. 社会保険の加入

正社員転換後、社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入要件を満たす場合は、必ず加入手続きを行ってください。未加入の場合は不支給となります。

労働者側の要件

1. 非正規雇用期間の要件

賃金の額または計算方法が正社員と異なる区分(有期雇用・無期雇用)に6ヶ月以上雇用されていることが必要です。

この期間は:

  • 異なる就業規則・賃金規程が適用されていること
  • 実際にその区分の賃金が支払われていること

が証明できる必要があります。

2. 申請時点で在籍していること

支給申請日時点で、対象労働者が離職していないことが必須です。支給決定前に退職した場合も不支給となります。

3. 親族関係の制限

事業主・取締役の三親等以内の親族でないことが必要です。

4. 過去の正規雇用の制限

過去3年以内に当該事業所で正社員または無期雇用労働者として雇用されていた者は対象外です。

5. 新規学卒者の除外(令和7年度改正)

令和7年4月以降、雇入れから1年未満の新規学卒者は助成対象外となりました。

例: 2025年3月に大学卒業、2025年4月1日に有期雇用として採用した場合、2026年3月31日までは対象外です。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)の申請は、以下の5つのステップで進めます。手続きの順番とタイミングが非常に重要です。

STEP 1【事前準備】キャリアアップ計画書の作成・提出

タイミング: 正社員転換を実施する日の前日まで

実施内容:

「キャリアアップ計画書」を作成し、管轄の労働局(雇用環境・均等部またはハローワーク)に提出します。

計画書の記載内容:

  1. キャリアアップ管理者の氏名・役職
    ※通常は人事労務担当者や代表者を指定
  2. 計画期間(3~5年)
    ※計画期間中に複数回の申請が可能
  3. 対象となる有期雇用労働者等の概要
    ※具体的な氏名は記載不要(人数と職種を記載)
  4. 正社員転換の予定時期・方法
    ※試験・面接等の選考方法も記載
  5. 賃金改定の方針
    ※3%以上増額する旨を明記
  6. 取組を実施する事業所名・所在地

労働組合がある場合は組合の意見聴取、ない場合は労働者代表の意見聴取を行い、意見書を添付します。

提出方法: 郵送または持参(控えに受付印をもらう)

【絶対ルール】 この計画書の提出前に正社員化を実施すると助成対象外になります。必ず提出を先に行ってください。

STEP 2【就業規則の整備】転換制度の規定と届出

タイミング: 正社員転換実施日の前日まで(計画書提出と並行可)

実施内容:

就業規則または雇用管理規程に「非正規雇用労働者を正社員へ転換する制度」を明記し、管轄の労働基準監督署へ就業規則変更届を提出します。

規定すべき内容:

(正社員への転換制度) 第○条 会社は、勤務成績が優秀であり、本人が希望する場合、有期雇用社員・パートタイム社員を正社員に転換することができる。 2 転換を希望する者は、所定の申請書を提出し、会社の実施する試験(面接)を受けなければならない。 3 転換後の労働条件は、正社員就業規則の定めるところによる。 4 正社員には、賞与制度および昇給制度を適用する。

添付書類:

  • 就業規則変更届
  • 変更後の就業規則
  • 労働者代表の意見書

施行日の設定: 必ず転換実施日より前の日付にしてください。

加算措置を狙う場合の追加規定:

「多様な正社員制度(勤務地限定・職務限定・短時間正社員)」を新規に規定すると、1事業所につき40万円の加算が受けられます。この場合、以下のような規定を追加します:

(勤務地限定正社員) 第○条 会社は、勤務地を限定した正社員(勤務地限定正社員)制度を設ける。 2 勤務地限定正社員の勤務地は、雇用契約書に明示する。 3 勤務地限定正社員には、正社員と同様に賞与制度・昇給制度・退職金制度を適用する。

STEP 3【転換の実施】正社員への登用

タイミング: 計画書提出後、就業規則整備後

実施内容:

就業規則に定めた選考方法(試験・面談等)を実施し、合格者に正社員用の「労働条件通知書」または「雇用契約書」を交付します。

選考の実施:

就業規則に「試験」と規定した場合は、形式的であっても試験を実施する必要があります。面接形式でも構いませんが、記録を残してください。

選考結果は書面で通知し、合格者には労働条件通知書を交付します。

労働条件通知書の記載内容:

  • 雇用形態: 正社員(無期雇用・フルタイム)
  • 転換日(雇用開始日)
  • 賃金: 基本給○○円、職務手当○○円等(具体的な金額)
  • 賞与: 年○回支給(または退職金制度の適用あり)
  • 昇給: 年1回(または人事考課による)
  • 勤務時間: ○時~○時
  • 休日・休暇
  • 社会保険の適用

【重要】 転換日・転換後の賃金・賞与・退職金・昇給規定が明確に記載された書類を必ず作成し、保管してください。これらは申請時の証拠書類となります。

転換日の設定:

転換日は月初(1日)に設定するのが一般的です。賃金計算期間と合わせることで、転換前後の賃金比較が容易になります。

STEP 4【6ヶ月の継続雇用と賃金支払い】

期間: 転換日から6ヶ月間

実施内容:

正社員転換後、6ヶ月間継続して雇用し、転換前と比較して3%以上増額した賃金を毎月支払います。

やるべきこと:

  1. 正確な勤怠管理
    出勤簿・タイムカード等で毎日の出退勤時刻を正確に記録してください。修正が多い、空白があるなど不自然な記録は審査で問題になります。
  2. 賃金の支払いと記録
    賃金台帳に毎月の基本給・手当・控除額を正確に記録し、給与明細を本人に交付してください。
  3. 3%増額の確認
    転換後6ヶ月分の賃金支払いが完了した時点で、転換前6ヶ月分と比較して3%以上増額していることを必ず確認してください。
  4. 社会保険の手続き
    転換後、社会保険の加入要件を満たす場合は、資格取得届を年金事務所に提出してください(転換日から5日以内)。

この期間中に絶対に避けるべきこと:

  • 対象者本人を解雇・退職勧奨すること
  • 事業所内で会社都合による退職者を出すこと
  • 対象者が長期欠勤(30日以上)すること
  • 賃金の未払い・遅延

書類の保管:

以下の書類を整理して保管してください(申請時に提出):

  • 出勤簿(転換前6ヶ月分・転換後6ヶ月分)
  • 賃金台帳(転換前6ヶ月分・転換後6ヶ月分)
  • 給与明細(同上)
  • 雇用契約書・労働条件通知書(転換前・転換後)

STEP 5【支給申請】

タイミング: 転換後6ヶ月分の賃金を支払った日の翌日から2ヶ月以内

例: 4月1日転換、9月25日に9月分賃金支払い完了 → 9月26日から11月25日までに申請

【絶対厳守】 この期限を1日でも過ぎると受理されません。

提出先: 管轄の労働局(雇用環境・均等部)

提出書類一覧:

  1. 支給申請書
  2. キャリアアップ計画書(提出時の控え)
  3. 就業規則・賃金規程(転換前・転換後の区分が明記されたもの)
  4. 労働基準監督署への届出印が押された就業規則届の写し
  5. 転換前の雇用契約書・労働条件通知書
  6. 転換後の雇用契約書・労働条件通知書
  7. 転換に関する選考試験・面接の記録
  8. 出勤簿またはタイムカード(転換前6ヶ月分・転換後6ヶ月分)
  9. 賃金台帳(転換前6ヶ月分・転換後6ヶ月分)
  10. 給与明細(同上)
  11. 賃金3%増額の計算書
  12. 雇用保険被保険者資格取得届の写し
  13. 社会保険資格取得届の写し(該当者のみ)
  14. 登記簿謄本(法人の場合)
  15. 事業所確認票

重点支援対象者の場合の追加書類:

  • 重点支援対象者a(3年以上雇用)の場合: 過去の雇用契約書(通算3年以上を証明)
  • 重点支援対象者b(正社員経験少ない)の場合: 本人の申立書・職務経歴書
  • 重点支援対象者c(訓練修了者)の場合: 人材開発支援助成金の訓練修了証明書

審査期間: 約4~6ヶ月

支給決定後: 助成金が指定口座に振り込まれます。

重点支援対象者の2期目申請:

重点支援対象者の場合、1期目支給後、さらに6ヶ月継続雇用し(合計12ヶ月)、12ヶ月分の賃金支払い完了の翌日から2ヶ月以内に2期目の申請を行います。

2期目の要件:

  • 1期目の支給決定を受けていること
  • 継続して雇用保険被保険者として雇用されていること
  • 1期目の賃金と比較して、2期目の賃金が合理的な理由なく引き下げられていないこと

キャリアアップ助成金の申請には、多くの事業所が陥りやすい落とし穴があります。以下の7つの注意点を必ず確認してください。

1. 「計画書より先に転換してはならない」絶対ルール

キャリアアップ計画書を労働局に提出するに正社員化を実施すると、どれほど他の要件を満たしていても助成対象外になります。

誤った例:

  • 3月1日に正社員化を実施
  • 3月15日にキャリアアップ計画書を提出
  • → 対象外

正しい例:

  • 2月20日にキャリアアップ計画書を提出(受理)
  • 3月1日に正社員化を実施
  • → OK

特に年度末・年度初めは人事異動が多い時期ですが、計画書提出を忘れずに行ってください。

【推奨】 計画書は転換予定日の1ヶ月以上前に提出することをお勧めします。

2. 3%賃金増額要件の確認

転換前6ヶ月と転換後6ヶ月の「賃金総額(基本給+定額手当)」を比較して3%以上増額していなければなりません。

計算ミスの典型例:

❌ 誤り: 時給を3%アップすればOK
⭕ 正解: 6ヶ月間の賃金総額を比較して3%以上アップ

具体例:

転換前(パート): 時給1,200円 × 月120時間 × 6ヶ月 = 864,000円
転換後(正社員): 月給160,000円 × 6ヶ月 = 960,000円
増額率: 960,000 ÷ 864,000 = 1.111… → 11.1%増
→ 3%以上のためOK

よくある失敗:

  • 通勤手当を含めて計算してしまった(通勤手当は対象外)
  • 時間外手当を含めて計算してしまった(時間外手当は対象外)
  • 転換後の勤務時間が減少し、総額が3%未満になった

【重要】 計算は慎重に行い、1円でも不足すると不支給となります。不安な場合は社会保険労務士にご相談ください。

3. 正社員の処遇要件(賞与・退職金・昇給)の明文化

就業規則・雇用契約書に「賞与または退職金」かつ「昇給」が明記されていることが必須です。

よくある不備:

❌ 「賞与は業績により支給することがある」
→ 「支給することがある」では不可。「支給する」と明記

❌ 昇給の規定がない
→ 「年1回昇給を行う」または「人事考課により昇給する」と明記

❌ 口約束や慣行で賞与を支給している
→ 就業規則に明文化されていないと認められない

正しい規定例:

(賞与) 第○条 会社は、正社員に対し、年2回(6月・12月)賞与を支給する。 2 賞与の額は、会社の業績および本人の勤務成績を考慮して決定する。 (昇給) 第○条 会社は、正社員に対し、毎年1回(4月)昇給を行う。 2 昇給額は、人事考課の結果により決定する。

退職金制度を導入する場合は、中小企業退職金共済(中退共)への加入でも認められます。

4. 申請期限(2ヶ月)の厳守

6ヶ月分の賃金支払い完了の翌日から2ヶ月以内という申請期限は絶対厳守です。

この期限を1日でも過ぎると、労働局は受理してくれません。郵送の場合は「消印有効」ではなく「必着」ですので、余裕を持って提出してください。

管理のコツ:

  • カレンダーやスケジュール管理ツールにアラートを設定
  • 申請期限の2週間前を社内締切とする
  • 書類は事前に揃えておく

【推奨】 申請代行を社会保険労務士に依頼することで、期限管理のリスクを軽減できます。

5. 会社都合退職者の禁止

転換の前後6ヶ月の間に、当該事業所で会社都合による退職者(解雇を含む)が1名でも発生すると、その対象者分の助成金が不支給となります。

会社都合退職に該当するもの:

  • 解雇(整理解雇・懲戒解雇を含む)
  • 退職勧奨による退職
  • 有期雇用契約の雇止め(更新を期待させていた場合)

会社都合退職に該当しないもの:

  • 本人の自己都合による退職
  • 定年退職
  • 契約期間満了による退職(更新を期待させていない場合)

【注意】 「自己都合退職」として処理していても、実態として退職勧奨があった場合は会社都合と判断される可能性があります。

転換前後の時期は、他の職員の雇用管理にも十分注意してください。

6. 新規学卒者1年未満の除外(令和7年度改正)

令和7年4月以降の改正により、雇入れから1年未満の新規学卒者は助成対象外となりました。

対象外となる例:

  • 2025年3月大学卒業
  • 2025年4月1日に有期雇用(契約社員)として採用
  • 2025年10月1日に正社員化
  • → 雇入れから6ヶ月のため対象外(1年経過していない)

対象となる例:

  • 2024年3月大学卒業
  • 2024年4月1日に有期雇用として採用
  • 2025年5月1日に正社員化
  • → 雇入れから1年以上経過しているため対象

【ポイント】 介護現場では新卒採用も多いため、新卒者を正社員化する場合は雇入れから1年以上経過後に実施してください。

7. 書類の保管と正確な労務管理

出勤簿・賃金台帳の記録が不自然(修正が多い、空白がある、手書きの訂正が多い等)だと、審査で問題になります。

審査で問題になる記録の例:

  • 出勤簿に空白日が多い
  • 賃金台帳の計算が合わない
  • タイムカードに打刻漏れが多く、すべて手書き修正
  • 出勤簿と賃金台帳の労働時間が一致しない

【重要】 日頃から正確な労務管理を行い、以下を徹底してください:

  • タイムカード・ICカード等での客観的な勤怠記録
  • 賃金台帳の正確な記帳(Excel等での自動計算推奨)
  • 給与明細の毎月交付
  • 雇用契約書・労働条件通知書の適切な作成・保管

不正受給の厳罰:

書類の改ざんや虚偽申請は「不正受給」として以下のペナルティがあります:

  • 助成金の全額返還
  • 延滞金・違約金の発生
  • 事業所名の公表
  • 向こう5年間の助成金受給停止
  • 悪質な場合は刑事告発の可能性

絶対に不正は行わないでください。

難易度: ★★★☆☆(中程度)

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、雇用関係助成金の中では比較的認知度が高く活用実績も多い制度ですが、それでも一定の難易度があります。

難易度が生じる主な理由

  • 手続きのタイミング管理が厳格
    「計画書提出 → 転換 → 6ヶ月雇用 → 2ヶ月以内申請」という順番と期限を守る必要があり、1つでも間違えると不支給となります。特に申請期限(2ヶ月以内)は厳格で、1日の遅れも許されません。
  • 就業規則の整備が必要
    多くの中小企業では、正社員転換制度が就業規則に明記されていません。新たに規定を追加し、労働基準監督署へ届出を行う必要があります。また「賞与または退職金」「昇給」の規定も必須のため、これまで賞与制度がなかった事業所では新たに制度設計が必要です。
  • 賃金計算(3%増額)の方法が複雑
    「基本給+定額手当」のみを対象とし、「通勤手当・時間外手当は除外」という計算ルールを正確に理解する必要があります。特に、転換前後で勤務時間が変動する場合(パート週20時間 → 正社員週40時間等)は、総額での比較が複雑になります。
  • 必要書類が多岐にわたる
    出勤簿・賃金台帳(各6ヶ月分)、雇用契約書、就業規則、選考記録など、15種類以上の書類を揃える必要があります。日頃から労務管理が適切に行われていないと、書類の準備に非常に時間がかかります。
  • 1期・2期申請の管理
    重点支援対象者の場合、1期目(6ヶ月後)と2期目(12ヶ月後)の2回に分けて申請するため、長期間の管理が必要です。

難易度を下げるための対策

  • 早めの準備開始: 転換予定日の3ヶ月前から準備を開始することで、余裕を持って手続きができます。
  • 専門家の活用: 行政書士・社会保険労務士に相談・依頼することで、スケジュール管理や書類作成の負担を軽減できます。
  • 労務管理システムの導入: クラウド勤怠管理システムや給与計算ソフトを導入することで、正確な記録が容易になります。
  • チェックリストの活用: 手続きの各段階でチェックリストを用いることで、漏れを防ぐことができます。

結論

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、手続きが複雑ではありますが、適切な準備と専門家のサポートにより、確実に受給することが可能です。

特に居宅介護事業のように職員の定着率向上が課題となる業種では、正社員化は職員のモチベーション向上・離職防止に直結するため、助成金を活用しない手はありません。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、厚生労働省の他の助成金と組み合わせて使うことが可能です。特に「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)」との組み合わせは、特定事業所加算の取得という目的と完全に合致する、最も有効な組み合わせです。

組み合わせの概要

人材開発支援助成金は、従業員のスキルアップのための研修・訓練費用(外部研修費・賃金の一部)を助成する制度です。

この助成金で「有期実習型訓練(OJT+OFF-JT)」または「事業展開等リスキリング支援コース」対応の研修を修了した非正規労働者は、キャリアアップ助成金の「重点支援対象者c」に自動的に該当します。

人材開発支援助成金の概要

対象となる訓練

人材育成支援コース(有期実習型訓練):

  • OJT(実地訓練): 企業内での実務を通じた訓練
  • OFF-JT(座学): 外部講師による研修、eラーニング等
  • 訓練時間: OJTとOFF-JTを合わせて6ヶ月程度
  • 対象者: 有期雇用労働者

事業展開等リスキリング支援コース:

  • 新規事業・DX推進等のための訓練
  • eラーニング研修(10時間以上)も対象
  • 訓練期間: 10時間以上
  • 対象者: 正規・非正規を問わない

支給額(中小企業の場合)

経費助成:

  • 人材育成支援コース: 経費の70%(上限50万円/人)
  • 事業展開等リスキリング支援コース: 経費の75%(上限60万円/人)

賃金助成:

  • OFF-JT: 1時間あたり800円
  • OJT: 1時間あたり800円(人材育成支援コースのみ)

具体例:

介護技術研修(eラーニング30時間 + 実地訓練60時間)を実施した場合:

  • eラーニング費用: 5万円 × 70% = 3.5万円
  • OFF-JT賃金助成: 30時間 × 800円 = 2.4万円
  • OJT賃金助成: 60時間 × 800円 = 4.8万円
  • 合計: 10.7万円の助成

組み合わせによるメリット

  • 研修費用そのものを人材開発支援助成金で補填: 研修の実施に必要な経費の70~75%が助成され、研修中の賃金の一部も助成されるため、負担が大幅に軽減されます。
  • 研修修了者を正社員化することでキャリアアップ助成金が最大80万円支給: 雇用期間に関わらず「重点支援対象者c」に該当するため、正社員化時に最大80万円が支給されます。
  • 申請手続きの簡素化: 「訓練実施計画届」に特定の追加項目を記載することで、「キャリアアップ計画書」の提出とみなされる特例があります。

特定事業所加算との連動

特定事業所加算の算定要件の一つに、介護福祉士等の有資格者の割合があります。

人材開発支援助成金を活用して介護福祉士資格取得のための実務者研修職場内研修を実施し、その後キャリアアップ助成金で正社員化することで、以下の一連のキャリアアップ戦略が完成します:

【戦略の流れ】

  1. 人材開発支援助成金で研修実施
    パート職員に実務者研修(介護福祉士受験資格取得)を受講させる
    → 研修費用・賃金の一部が助成される
  2. 研修修了後、正社員化
    研修修了者を正社員に転換
    → キャリアアップ助成金80万円を申請
  3. 介護福祉士資格取得
    実務者研修修了後、介護福祉士国家試験を受験・合格
  4. 特定事業所加算の算定
    介護福祉士等の有資格者割合が要件を満たし、特定事業所加算を算定開始
  5. 収益向上・職員処遇改善
    特定事業所加算により増収し、その財源で職員の処遇を改善

このように、助成金を戦略的に組み合わせることで、研修費用の負担を最小限に抑えつつ、職員のキャリアアップと事業所の収益向上を同時に実現できます。

並行申請の注意点

  • 訓練修了後に正社員化すること: 訓練が「途中」の段階で正社員化してしまうと、重点支援対象者として認められない場合があります。必ず訓練修了後に転換してください。
  • 各助成金の申請期限を個別に管理: それぞれ別の期限があるため、個別に管理してください。
  • 各助成金の申請書類は別々に揃える: 提出書類が異なります。支給申請時の書類は別々に準備する必要があります。
  • 併給調整の確認: 念のため管轄労働局に確認することをお勧めします。

eラーニング活用のメリット

人材開発支援助成金では、eラーニング研修も対象となります。メリットは以下の通りです:

  • 受講履歴・学習時間の自動記録: 助成金申請時のエビデンスとして有効です。
  • 複数拠点・在宅勤務者にも対応可能: 訪問介護のように職員が各地に分散している場合でも実施しやすいです。
  • 研修実施・管理のコスト削減: 外部講師の手配や会場確保が不要です。
  • 書類作成・報告が容易: システムから証明書等をダウンロードできます。

おすすめの研修テーマ(居宅介護事業向け)

  • 介護技術研修(身体介護・生活援助)
  • 認知症ケア研修
  • サービス提供責任者研修
  • 虐待防止・身体拘束廃止研修
  • 感染症対策・医療的ケア研修
  • DX・ICT活用研修(介護記録システムの活用等)

キャリアアップ助成金(正社員化コース)と併用可能な助成金として、以下のものがあります。ただし、各助成金の要件や併給調整の規定があるため、専門家への確認が必須です。

1. 特定求職者雇用開発助成金(就職困難者コース等)

概要: 高齢者(60歳以上)、障害者、母子家庭の母等の就職困難者をハローワーク等の紹介により雇い入れた場合に支給される助成金です。

支給額(例): 短時間労働者以外 60万円(中小企業)

組み合わせの可否: 特定求職者雇用開発助成金は「雇入れ時」の助成、キャリアアップ助成金は「正社員転換時」の助成のため、併給可能です。

活用例: ハローワークから母子家庭の母を紹介され採用(特定求職者雇用開発助成金) → 6ヶ月後正社員化(キャリアアップ助成金) = 合計120万円

2. キャリアアップ助成金の他コース

賃金規定等改定コース: 有期雇用労働者等の基本給を3%以上増額した場合に支給。正社員化コースとは別の労働者または別の時期であれば併給可能です。

賞与・退職金制度導入コース: 有期雇用労働者等に賞与または退職金制度を新たに導入した場合に支給。正社員化前に導入すれば両方受給可能です。

3. 障害者雇用納付金制度に基づく助成金

障害者を雇用する事業主に対する各種助成金です。基本的に併給可能ですが、助成対象が重複する場合は調整が入ります。

併給調整の注意点

複数の助成金を組み合わせる場合、「併給調整」の規定により、一部の助成金が減額または不支給となる場合があります。事前に社会保険労務士等に相談し、最適な組み合わせを確認することをお勧めします。

特定事業所加算の取得を見据えた研修費用軽減の戦略として、以下のロードマップを参考にしてください。

Phase 1: 準備期(転換前)

実施時期: 転換予定日の3ヶ月前~

  • 現状分析: 雇用期間・属性の確認、「重点支援対象者」の特定、対象者選定
  • キャリアアップ計画書の作成・提出: 管轄労働局へ提出(転換日の1ヶ月前までに)
  • 就業規則の整備: 正社員転換制度、賞与・退職金・昇給規定の整備、労基署への届出
  • 人材開発支援助成金の活用検討: 研修選定、訓練実施計画届の提出
  • 賃金設計: 転換後の賃金設計(3%増額確認)、賞与・退職金制度の決定

Phase 2: 転換・研修期

実施時期: 転換日~

  • 研修の実施: eラーニング研修または集合研修、受講履歴記録、修了証明書発行
  • 正社員化の実施: 選考(試験・面接)、労働条件通知書交付、雇用契約書締結
  • 6ヶ月間の継続雇用・賃金管理: 正確な勤怠管理、賃金支払い(3%増額維持)、社会保険加入
  • 書類の整備・保管: 出勤簿、賃金台帳、給与明細、契約書の保管

Phase 3: 申請期

実施時期: 訓練終了後、転換後6ヶ月後~

  • 人材開発支援助成金の申請: 訓練終了後2ヶ月以内に申請
  • キャリアアップ助成金1期目の申請: 転換後6ヶ月賃金支払い翌日から2ヶ月以内に申請
  • 審査対応: 追加書類対応(審査期間約4~6ヶ月)
  • キャリアアップ助成金2期目の申請: 重点支援対象者の場合、さらに6ヶ月後

Phase 4: 加算要件達成

実施時期: 正社員化・研修完了後

  • 資格取得の促進: 介護福祉士受験推奨、合格後の人員配置算入
  • 特定事業所加算の要件確認: 有資格者割合等の確認
  • 特定事業所加算の算定開始: 自治体へ届出、算定開始
  • 収益向上・職員処遇改善: 増収分の還元、定着率向上

【活用ロードマップ 図解イメージ】 【3ヶ月前】 ↓ 準備期 – 現状分析・対象者選定 – キャリアアップ計画書提出 – 就業規則整備 – 訓練実施計画届提出(人材開発) ↓ 【転換日】 ↓ 転換・研修期 – 研修実施(人材開発) – 正社員化 ↓ 【6ヶ月後】 ↓ 申請期 – 人材開発支援助成金申請 – キャリアアップ助成金1期目申請 ↓ 【12ヶ月後】 – キャリアアップ助成金2期目申請(重点支援対象者) ↓ 【1~2年後】 ↓ 加算要件達成 – 介護福祉士資格取得 – 特定事業所加算算定開始 – 収益向上・職員処遇改善

【試算例: 1名の職員を正社員化した場合の助成総額】

前提:

  • パート職員(雇用期間3年以上) → 正社員化
  • 人材開発支援助成金対応のeラーニング研修(30時間)を受講

助成金の内訳:

  1. 人材開発支援助成金: 5.9万円(経費助成3.5万円 + 賃金助成2.4万円)
  2. キャリアアップ助成金(正社員化コース): 80万円(重点支援対象者)
  3. 加算措置: 40万円(多様な正社員制度新規規定)

助成総額: 5.9万円 + 80万円 + 40万円 = 125.9万円

研修費用や正社員化に伴う人件費増加を考慮しても、大幅に費用負担を軽減できます。

キャリアアップ助成金(正社員化コース)は、特定事業所加算取得に向けた研修費用の軽減だけでなく、職員の定着率向上・モチベーションアップ・採用力強化にも直結する非常に有効な制度です。

特に令和7年度からの「重点支援対象者」制度を理解し、人材開発支援助成金と戦略的に組み合わせることで、最大限の効果を得ることができます。

手続きは複雑ですが、適切な準備と専門家のサポートにより、確実に受給することが可能です。

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