自分で進めると決めた人が、必ず押さえるべき行政手続きの分岐点

行政手続きを自分で行う人のための注意点について解説した記事のアイキャッチ画像 行政手続きの基礎知識

ここまでの記事で、

  • 行政手続きは思った以上に「判断」が多い
  • 途中で詰まる原因は、書類より前にある
  • 相談のタイミング次第で、結果が大きく変わる

という話をしてきました。

それでもなお、

「今回は自分で進めようと思う」

そう決める人も多いはずです。
それ自体は、まったく悪い判断ではありません。

ただし――
自分で進めるなら、最低限ここだけは確認してから動いてほしい
という分岐点が、行政手続きには必ず存在します。

今回は、その「外すと後戻りが難しいポイント」を、
できるだけ具体的に整理します。

まず大前提として知っておいてほしいのは、

行政手続きの多くは
途中で修正できる部分と、できない部分が混在している
という点です。

どういうことかというと、
行政手続きの種類によっては、
「書類の書き直し」はできても、

  • 選んだ制度
  • 進め方
  • 順番

は、やり直せないことが少なくありません。

じゃあどんな手続きに、上記の「やり直せないポイント」があるのか?
次のセクションから、ここを深堀していきますね。
その話が終わった後に、行政手続きを自分やすると決めたときに「判断を要する分岐点」があるので、それについても触れていきます。

じゃあどんな手続きに、上記の「やり直せないポイント」があるのか。
代表的なものをいくつか挙げてみます。

建設業許可は、「書類の書き直し」は比較的可能ですが、
最初の判断や選択を間違えると、後から修正できないポイントが多い手続きです。

たとえば、

  • 一般建設業で申請するか、特定建設業で申請するか
  • 経営業務管理責任者を「誰で立てるか」
  • 専任技術者の要件を「どの実務経験・資格で満たすか」

といった部分は、
申請ルートそのものに関わる判断です。

書類上の記載ミスであれば修正できますが、
「そもそもその人では要件を満たせない」「その業種では申請できない」
という判断になると、

  • 申請の取下げ
  • 最初からやり直し
  • 数か月〜数年待たなければならない

という事態になることも珍しくありません。

恐ろしいですよね~
場合によっては、事業が数年単位でストップしてしまうこともあり得るということになります。

なので、手続きを始める前に「要件を整理」しておくことが必要になります。
不安だったらプロに頼んでしまいましょう。

建設業許可のご相談はこちら ⇒イーエイブル法務事務所

ご本人が外国人の方でビザの新規取得申請や更新手続きをされるという場合や、
自分の会社に外国人を雇いたいので手続きが必要だという事業主さんもいるでしょう。

いずれしせよ、この在留資格関係の手続き、いわゆるビザはけっこう厄介な行政手続きの1つです。

特に、在留資格の申請でも、
制度の選び方・進め方・順番は後戻りできないことが多くあります。

たとえば、

  • 「技術・人文知識・国際業務」で申請すべきところを、
     安易に別の在留資格で申請してしまった
  • 本来は「資格変更」が必要なのに、「更新」で進めてしまった

この場合、
「書類を少し直せばOK」という話では済みません。

最悪の場合、

  • 不許可
  • その履歴が残る
  • 次の申請が厳しくなる

といった影響が出ることもあります。

これ、本当にその人の人生に直接影響しますので、
間違えてはいけない申請手続きの1つでもあります。

「知らなかったー」で済ませられないことが多いですよね、はい。

農地転用や開発許可は、
順番を間違えると、後から絶対に戻せない手続きの代表例です。

たとえば、

  • 農地転用の許可が下りる前に、造成や工事に着手してしまう
  • 必要な許可を確認しないまま売買契約を進めてしまう

考えただけで恐ろしすぎる!

この場合、

  • 「書類を修正すればいい」では済まず
  • そもそも許可が出なくなる
  • 原状回復を求められる

といった深刻な問題につながることがあります。
その損害たるや、いったい・・・。

と、ここまで「やり直せないポイント」がある代表的な行政手続きを3つご紹介してきましたが、
でも、そもそも、なぜ「やり直せないポイント」があるのでしょうか?

まあ、なぜといっても仕方がないんですけどね。
行政書士のような専門家になるわけでもなければ、
こういった小難しい話を知らなくてもいいのですが、

ただ、そういった行政手続きの留意すべきポイントの「仕組み」や「理屈」について、
ちょっぴりでも知っておくと、
どこかで、何かの役に立つかもしれません。


最大の理由は、行政手続きは、

  • 法律
  • 省令
  • 運用基準

によって、最初の前提条件が厳密に決められているからです。

そのため、

  • 誤字脱字
  • 添付書類の不足

といった「書類の問題」は直せても、

  • どの制度を使うか
  • どの順番で進めるか
  • どの立場・資格で申請するか

といった設計ミスは、途中で修正できないことが多いのです。

なので、こういったことを知らずに、
農地転用やらビザやらを独学で申請して、
すんなり行けばいいんですけど、

変に聞きかじったり、
「更新だからこうでしょ、ああでしょ。知ってる知ってる」とやってしまうと、
後戻りができない状況になることもあったりします、本当に。

このように考えると、
行政手続きで一番大切なのは、

「書類をきれいに作ること」ではなく、
申請前の判断・設計・段取りだということが分かります。

だからこそ、

  • ネットの断片的な情報だけで進める
  • なんとなく「これでいけそう」と判断する

というやり方は、
後から取り返しのつかないリスクを抱えることになります。
怖がらせるわけではないのですが、行政手続きの中には、
そういった大きなリスクを含んでいるものも事実としてあるということです。

なので、「自分でやる」と決めたとしても、
適宜プロに頼ることも念頭に置いて作業を進めた方が安全ですよー、ということです。



さて、ここまでで、だいぶ重要ポイントは抑えられましたので、
次は実際に自分で行政手続きをすると決めたときの、
「思考の分岐点」についてお話ししていきます。

↓ ご相談が必要であれば、一応、わたしの事務所ホームページです。

最初の分岐点は、意外とここです。

そもそも、今このタイミングで申請すべきか?

具体例:建設業許可の場合

建設業許可は、

  • 要件を満たしたら
  • すぐに申請した方がいい

と思われがちですが、実務では必ずしもそうではありません。

例えば、

  • 決算期直前
  • 役員変更の予定がある
  • 経営業務管理責任者が近々変わる

こうした事情があるなら、
少し待った方がスムーズになるケースもあります。

ここを見誤ると、

  • 書類を二度作る
  • 追加説明を求められる
  • 無駄な補正が増える

という結果になりがちです。

次に重要なのが、
自分が当然だと思っている前提が合っているかです。

具体例:法人か個人かの選択

よくあるのが、

法人の方が信用があるから
とりあえず法人で進めよう

という判断。

確かに正しい場面もありますが、

  • 許認可の要件
  • 人員配置
  • 資金計画

によっては、
個人の方が圧倒的に有利なケースもあります。

この前提がズレたまま進むと、
後からの修正コストはかなり大きくなります。

ここの部分、意外と重要なことなので、ちょっと詳しく説明しましょう。

行政手続きを考える際、
多くの人が最初に悩むのが

「法人で進めるべきか、それとも個人事業主で進めるべきか」

という点です。

よくあるのが、

法人の方が信用があるから
とりあえず法人で進めよう

という判断です。

確かに、
取引先や金融機関との関係では、
法人の方が有利に働く場面もあります。

しかし、許認可の世界では「法人=有利」とは限りません


たとえば建設業許可を例にすると、
法人で申請する場合、

  • 経営業務管理責任者
  • 専任技術者

といった要件を、
「法人に常勤する役員・従業員」として配置する必要があります。

一方、個人事業主であれば、

  • 事業主本人の経歴
  • これまでの実務経験

をそのまま使えるケースが多く、
要件を満たしやすいことがあります。

つまり、

  • 法人にしたことで
  • 要件を満たす「人」が足りなくなり
  • 許可が取れなくなる

という本末転倒な事態も、実際に起こり得るのです。


法人で進めると、

  • 代表取締役
  • 役員
  • 従業員

という立場の整理が必要になります。

その結果、

  • この人は「常勤」と言えるのか
  • 他社の役員を兼ねていないか
  • 社会保険の加入状況はどうか

といった点までチェックされます。

個人事業主であれば問題にならなかったことが、
法人にした瞬間にアウトになるというケースも少なくありません。


資金面でも注意が必要です。

法人の場合、

  • 設立費用
  • 資本金の設定
  • 役員報酬の支払い
  • 社会保険料の負担

など、
事業開始前後で必要なお金が一気に増えます。

許認可によっては、

  • 一定額以上の財産要件
  • 継続的な経営が可能かどうか

といった点も見られるため、

「法人化したことで資金が薄くなり、要件を満たせなくなる」

という逆転現象も起こり得ます。


このように、

  • 許認可の要件
  • 人員配置の考え方
  • 資金計画

は、
法人か個人かの選択によって、最初から前提が変わる部分です。

一度、

  • 法人で申請する
  • 法人名義で進める

と決めてしまうと、

途中で
「やっぱり個人でやり直します」
というのは簡単ではありません。

場合によっては、

  • 申請のやり直し
  • 時間と費用のロス
  • 事業開始の大幅な遅れ

につながります。


許認可手続きで本当に重要なのは、

「どちらが信用がありそうか」ではなく、
「どちらの形が、今の状況で確実に要件を満たせるか」です。

だからこそ、

  • 先に法人を作る
  • その後で許認可を考える

のではなく、

許認可の要件を確認したうえで、
 法人か個人かを決める

という順番が、圧倒的に安全です。

はい、ここまでが思考の分岐点②でした。

行政手続きでよくある誤解が、

窓口は一つだろう

という思い込みです。

具体例:飲食店営業+別許可が絡むケース

飲食店営業許可ひとつ取れば終わり、
と思っていたら、

  • 保健所
  • 警察
  • 自治体独自の届出

が絡んでくるケースも珍しくありません。

ここで問題になるのは、

  • どこが主導権を持っているのか
  • どこに最初に確認すべきか

という順番です。

順番を間違えると、

「それは先に〇〇で確認してください」

と、振り出しに戻ることになります。

まあ、時間と労力をいとわないというのであれば、
このあたりは「当たって砕けろ」じゃないですけど、
あっちこっちと行きつ戻りつ足を運べばいいのですけどね・・・。

それって意外と大変ですよ。

行政手続きには、
必ずと言っていいほどグレーゾーンがあります。

  • 条文上は微妙
  • 事例による
  • 運用次第

こうした部分を、

たぶん大丈夫だろう

で進めるのは、かなり危険です。

具体例:農地転用の判断

農地転用よく出てきますけど、農地転用では、

  • 条文だけ読むと可能に見える
  • でも地域の運用では難しい

というケースが実際にあります。
なんじゃそりゃ!?って感じですよね。(;^_^A

法律よりもローカルの事情が優先されるんかいってね。
でも、「運用」ってそういうことなんです。

で、厄介なのは、

この法律と運用の「ズレ」に気づかないまま進むと、

  • 書類は完璧
  • でも結論はNG

という、精神的ダメージの大きい結果になります。

そして役所の説明を聞いて、「なんじゃそりゃ~」と二重にダメージを受けることになる。
トホホです。

最後に、ほとんどの人が考えていないポイントです。
これも、その道の専門家でもない限り、別に気にする必要もないのかもしれません。

大抵の方は、必要なものをそろえて、期日までに出すべき場所に出せば、手続きは通るものだと思って作業をしますからね。

でも、「自分でやる」と決めた場合には、
当然、
「通らない」という現実にも自分で向き合うことになります。

特にその手続きが、
事業の開始時期や、
工期のスケジュールに直接影響したり、

自分以外にも相手がいる
ような状況だった場合、
「ダメだったわ~。ごめんちゃい。テヘっ」では済まないこともありますよね?

なので、一応頭の片隅にはプランBも用意しておく方が安心です。

もしダメだったら、次どうする?

行政手続きでは、

  • AがダメならB
  • BがダメならC

という逃げ道設計が重要です。

しかし、自分で進める場合、

  • その手続き一本に全振り
  • ダメなら白紙

になりがちです。

ここを設計できていないと、
失敗=事業計画そのものの崩壊
につながることもあります。

さて、別に営業活動をしようと思っているわけではないのですが、
ここで、行政書士の役割を整理しておきます。

行政書士は、

  • 書類を代行する人
  • 手続きを代わりにやる人

というイメージを持たれがちですが、
実務の本質はそこではありません。

本当の役割は、

どこが判断ポイントで、
どこで失敗すると戻れないかを翻訳すること

です。

だからこそ、

  • 自分で進める人ほど
  • 最初の整理段階だけ相談する

という使い方も、十分合理的です。

なので、使えるものは上手に活用してください。

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最後に、大事なことを一つ。

最初に

自分でやる

と決めたからといって、
最後まで一人で抱える必要はありません。

途中で、

  • 思ったより複雑
  • 判断が重い
  • これ以上は怖い

と感じたら、
その時点で相談するという選択もあります。
いいですよ、相談してきてください。
なんだかんだと、色々と書きましたが、
ご依頼主からのご相談やご依頼を受けるのが行政書士の仕事ですから。

むしろ、それが一番損失を抑えやすい。

イーエイブル法務事務所(2026年11月開業予定)

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平日のお問合せには24時間以内に、休日のお問合せには翌営業日中に返信いたします。

次回からはカテゴリーを変え、
行政手続きに関する「よくある質問・トラブル」に入ります。

最初は、

「これ、みんな同じところで勘違いしてるな…」

という、
現場感のあるテーマから取り上げる予定です。

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