2025年12月12日、改正建設業法が完全施行されました。
今回の改正は「書類が少し変わる」というレベルではありません。
経営判断そのものに影響する改正です。
特に重要なのは、
- 労務費を安く見積もることが違反になる
- 原価割れ受注が処分対象になる
- 無理な短工期での受注も違反になる
- 資材高騰時の価格転嫁ルールが明確化された
という点です。
これらはすべて
建設業法の改正によるものです。
本記事では、専門用語をできるだけ使わず、
建設会社の社長が一人で読んでも理解できる内容に整理しました。
📋 改正の背景 ― なぜ今、法改正なのか?
今回の改正は「担い手不足」が最大の理由です。
■ 就業者数の減少
1997年:約685万人
2023年:約483万人
→ 約30%減少
若手が入らない理由は明確です。
- 低賃金
- 長時間労働
- 不安定な収入
さらに資材価格は2015年比で約40%上昇。
その結果、
材料費が上がる → 利益が減る → 労務費を削る
という悪循環が起きていました。
この流れを止めるため、
国土交通省が主導して法改正が行われました。
目的は一言で言えば、
「安売り競争を止めること」
です。
🎯 改正の3つの柱
① 労働者の処遇改善(賃金引上げ)
1-1 処遇確保の努力義務化
建設業者は、技能者の賃金や労働環境を改善する努力をしなければならない、と法律上明記されました。
「努力義務だから関係ない」と思ってはいけません。
国は取り組み状況を調査し、
中央建設業審議会へ報告します。
つまり、
会社の姿勢が見られる時代になった
ということです。
1-2 「標準労務費」の作成
中央建設業審議会が
技能者の労務費の基準を示します。
これは「最低賃金」ではありません。
しかし、
あまりに低い労務費は違反になる可能性がある
という強いメッセージです。
1-3 著しく低い労務費の見積り禁止
■ 受注者(建設会社)
標準労務費を大きく下回る見積り提出は禁止。
■ 発注者
著しく低い見積りを要求することも禁止。
対象金額:
500万円以上(建築一式は1,500万円以上)
つまり、
「安く受ける」「安く出せ」は通用しない時代
になりました。
1-4 原価割れ契約の禁止(超重要)
今回最大の改正ポイントです。
これまでは発注者側の行為が主な規制対象でした。
しかし今後は、
「赤字でも仕事が欲しいから受ける」
これが違反になる可能性があります。
正当な理由なく原価を下回る契約は処分対象。
営業停止や許可取消につながる可能性もあります。
② 資材高騰への対応強化
2-1 リスク情報の通知義務
契約前に、
「資材が上がる可能性があります」
「職人が不足する可能性があります」
と客観的資料を添えて通知する義務があります。
これをしていないと、
後から価格変更を求めにくくなります。
2-2 スライド条項の明記義務
契約書に、
資材が上がったらどうやって金額変更するか
を明記することが法定事項になりました。
口約束は完全にNGです。
2-3 誠実協議義務
価格上昇が実際に起きた場合、
注文者は協議を拒否できません。
無視や引き延ばしは違反と評価される可能性があります。
③ 働き方改革と生産性向上
3-1 工期ダンピングの禁止
発注者だけでなく、
受注者側の短工期受注も禁止されました。
「この工期では物理的に無理」
と分かっていて受けることはリスクです。
3-2 監理技術者の専任義務合理化
ICT活用により、一定条件下で兼任が可能になりました。
専任義務の金額要件も引き上げ:
改正後
4,500万円(建築一式9,000万円)
人材不足対策です。

3-3 ICT活用の努力義務
タブレット、ウェアラブルカメラ、ドローンなどを活用した現場管理が求められます。
効率化は義務ではありませんが、
「努力」が求められます。
💼 社長が今すぐやるべきこと
① 見積書の見直し
② 工期設定の再確認
③ 契約書のスライド条項確認
④ 協議記録の保存
⑤ 社内教育
⑥ ICT導入検討
⚠ 違反するとどうなる?
指導
勧告
公表
営業停止
許可取消
最近は「建設Gメン」による監視も強化されています。
✨ まとめ
今回の改正は、
✔ 労務費を守る
✔ 無理な工期をなくす
✔ 適正利益を確保する
ための法律です。
これは規制強化ではありません。
安売り競争から脱却するための武器です。
正しく理解し、
自社の経営改善につなげましょう。


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