【建設業】公共工事でのCCUS対応実務ガイド|元請・下請が押さえるべきポイント

建設業キャリアアップシステムの公共工事における対応について解説した記事のアイキャッチ画像 建設業許可

公共工事では、建設キャリアアップシステム(CCUS)への対応が重要視される場面が増えています。元請・下請それぞれに求められる役割や現場での運用を理解しておかないと、評価や手続きで不利になる可能性があります。

本記事は、建設キャリアアップシステム(CCUS)の導入を完了された建設業の経営者及び実務担当者様に向けて、公共工事において求められる具体的な運用実務を解説するものです。現場での役割分担、検査対応、トラブル防止策を中心に整理しています。

国土交通省直轄工事をはじめ、各地方自治体の発注工事においてもCCUSの活用が標準化されつつあります。原則として「義務化」という言葉が指す範囲は拡大傾向にあり、対応の遅れは入札参加資格や工事成績評定に直結します。

2023年度以降のCCUS活用モデル工事(原則義務化)

  • 直轄工事: 原則として全ての工事でCCUS活用が必須(対象工事)。
  • 地方自治体: 大規模工事から順次適用拡大中。都道府県により対応状況に差があるため、発注仕様書の確認が必須。

義務化の段階的展開(3つのレベル)

※2024年度現在、多くの直轄工事は「レベル2(活用原則モデル)」以上で運用されています。下請業者への指導不足による未登録や未タッチは、元請の管理能力不足とみなされるリスクがあります。

CCUSの運用において、最も重要なのは「誰が何をすべきか」の明確化です。

責任分担表

ここがポイント:
元請は「環境整備と管理」、下請は「登録と実践」が基本です。特に下請企業が「元請がやってくれるだろう」と誤解しているケースが多いため、「施工体制登録の承認」は元請が行いますが、「技能者の紐づけ申請」は下請が行う必要がある点を明確に伝えてください。

① 現場・契約情報の登録(元請)
CCUSシステム上で現場IDを取得し、工事情報を登録します。公共工事の場合、CORINS(コリンズ)データを取り込むことで効率化できます。

② 施工体制の構築(元請・下請)
下請企業をシステム上の施工体制に招待・承認します。
※注意:施工体制台帳(紙/Excel等)とCCUS上の体系図に矛盾がないよう注意してください。

③ カードリーダーの設置とテスト
現場事務所や詰所にカードリーダー(PC接続型またはiOS端末)を設置し、正常に読み取れるかテストします。通信環境(Wi-Fi/LTE)の確保が必須です。

① 朝礼・入場時の運用
「新規入場者教育」で必ずカードタッチの方法を説明します。朝礼時にカードリーダー前を通過させる動線を確保するのが最も確実です。

② 就業履歴の蓄積と確認
基本的にシステムが自動で蓄積しますが、エラーが出ていないか週1回程度は管理画面で確認することを推奨します。

① 実績データの最終確認
就業履歴に抜け漏れがないか確認します。特に「応援」で入った職人の履歴漏れが多い傾向にあります。

② 発注者への報告・完了登録
システム上で現場を「完了」ステータスに変更します。必要に応じ、就業履歴データを帳票出力し、工事検査書類として保存します。

CCUSは単なる入退場管理ではなく、技能者の「レベル判定」の基盤です。公共工事では、高いレベルの技能者が従事することが加点評価につながる傾向が強まっています。

  • レベル1(白): 初級技能者
  • レベル2(青): 中堅技能者
  • レベル3(銀): 職長・熟練技能者
  • レベル4(金): 高度技能者(登録基幹技能者など)

総合評価方式での活用:
一部の公共工事入札では、従事予定技術者の能力評価において、CCUSのレベル判定結果(ゴールドカード保有者など)が加点対象となる場合があります。また、レベルアップ(能力評価)には「就業日数」が必要となるため、日々のカードタッチ漏れは、将来のレベル判定に不利益をもたらします。

発注者・監督職員の主な確認ポイント

最も重視されるのは「就業履歴蓄積率」
対象となる技能者のうち、何割が正しく履歴を蓄積できたかが評価されます。目標値(例:80%以上など)が設定されている工事もあるため、特記仕様書を必ず確認してください。

対処:即座に「代行申請」を検討するか、暫定的な運用(紙での記録と事後登録の誓約)を発注者と協議します。
予防:契約前の見積依頼段階で「CCUS登録済みであること」を条件に盛り込みます。

対処:事後登録機能(手動入力)で修正可能ですが、手間がかかります。常習者には注意が必要です。
予防:カードリーダーを「休憩所の自販機横」や「喫煙所入口」など、必ず立ち寄る場所に設置する、または「顔認証」連携システムの導入を検討します。

対処:その職人の氏名・生年月日を控え、後日所属会社を通じて紐づけ登録を行います。
予防:下請に対し、応援部隊の手配時にも「カード携帯必須」を伝達させます。

現場担当者がコピーして使える確認リストです。

現場IDを取得し、工事情報を登録したか(CORINS連携推奨)

全ての一次下請業者に対し、施工体制登録の招待メールを送ったか

カードリーダーの手配・設置場所の確保・電源/通信確認は完了したか

新規入場者教育資料に「CCUSカードタッチの手順」を盛り込んだか

新規入場した下請業者の施工体制登録は済んでいるか

就業履歴にエラー(未連携など)が発生していないか管理画面で確認したか

カードタッチ率(就業履歴数 ÷ 入場者数)は目標値を満たしているか


公共工事におけるCCUS対応は、もはや「導入するかどうか」ではなく「いかに効率よく運用し、評価につなげるか」のフェーズに入っています。
本マニュアルを活用し、現場負担を最小限に抑えつつ、確実な実績積み上げを行ってください。

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