建設キャリアアップシステム(CCUS)には、「レベル制度」と呼ばれる技能評価の仕組みがあります。この制度は、建設技能者の経験や能力を客観的に見える化し、現場での評価やキャリア形成に活かすことを目的としています。
ただし、「レベルって何?」「カードの色と同じ?」「資格を取れば上がるの?」など、初心者が混乱しやすい点も多くあります。
CCUSそのものをまだよく知らない方は、まず
👉 CCUSとは何かをゼロから理解したい方はこちら
https://otokawa-gyouseishoshi.com/blog/ccus-complete-beginner-guide
登録の違いが気になる方は
👉 技能者登録と事業者登録の違いはこちら
https://otokawa-gyouseishoshi.com/blog/ccus-ginousha-jigyousha-difference
カードの基本は
👉 キャリアアップカードの基本はこちら
https://otokawa-gyouseishoshi.com/blog/career-up-card-basics
本記事では、それらを前提として 「レベル制度だけ」 について初心者でも理解できるように整理して解説していきます。
CCUSレベル制度とは何を示す仕組みか
CCUSレベル制度は、建設技能者の能力・経験・資格を総合評価し、技能水準を段階的に示す仕組みです。これは単なるランク付けではなく、「どの程度の役割を現場で担えるか」を客観的に共有するための共通基準です。
正式名称:建設技能者の能力評価制度とは、
建設キャリアアップシステム(CCUS)に登録された技能者の情報を活用し、
「知識・技能」
「経験(就業日数)」
「マネジメント能力(職長歴など)」
を客観的に評価し、4段階(レベル1〜4)で認定する仕組みです。

国土交通省が推進しており、技能者が正当に評価され、処遇(賃金など)改善につながることを目的としています。
具体的には、以下の内容を示すものです。
1. レベル制度の概要(4段階の評価)
技能者のレベルは、CCUS登録カードの色によって以下の通りに見える化されます。
| レベル | 評価 | カードの色 | 定義・目安 |
|---|---|---|---|
| L4 | 高度な能力 | ゴールド | 登録基幹技能者、職長経験3年以上など |
| L3 | 職長レベル | シルバー | 職長経験3年以上、有資格者など |
| L2 | 中堅技能者 | ブルー | 2年以上の就業経験、一定の技能・資格保有 |
| L1 | 初級技能者 | ホワイト | 登録したばかり、または要件未達成 |
2. レベル判定の基準
レベルアップ(レベル2以上)には、単に長く働いているだけでなく、以下の要素が組み合わされて判定されます。
- 保有資格: 国家資格(技能検定など)や登録基幹技能者など
- 現場経験: 就業日数(実働日数)
- 指導・マネジメント経験: 職長・班長としての経験
3. レベル制度を示す仕組みの目的とメリット
- 技能者の処遇改善: 「レベルが高い=技能が高い」と見える化されるため、給与や手当の上乗せなど、正当な報酬につながりやすくなる。
- キャリアパスの明確化: 自分がどのレベルにいて、次に何が必要か(どの資格を取ればいいか)が分かる。
- 事業者の強みアピール: レベルの高い技能者がどれだけ自社にいるかを、元請けや発注者に「能力評価結果」としてアピールできる。
- 経営事項審査の加点: レベル2以上の技能者の割合が高いと、公共工事の入札に関わる「経営事項審査」で加点対象となる。
- 若手入職の促進: 将来のキャリアが見え、業界のイメージアップにつながる。
資格制度との違い
資格は「取得した事実」を証明するものですが、レベルは「総合評価の結果」です。
資格だけでは、現場での実践力や経験の深さまでは判断できません。レベル制度では、資格はあくまで評価要素の一つに過ぎず、就業履歴や実務経験と組み合わせて判断されます。
そのため、
資格を持っている=高レベル
ではありません。
この違いを理解することが、制度を正しく活用する第一歩になります。
CCUSレベルはどうやって決まるのか
レベルは自動で決まるわけではなく、登録された客観データに基づいて評価されます。この仕組みを理解すると、「何を積み重ねるべきか」が見えてきます。
登録手続きの詳細は
👉 登録手順や必要書類の詳細はこちら
https://otokawa-gyouseishoshi.com/blog/ccus-jigyousha-registration-guide
👉 技能者登録の手順はこちら
https://otokawa-gyouseishoshi.com/blog/ccus-ginousha-registration-guide
評価対象になる要素
主な評価項目は以下の通りです。
- 就業履歴
- 保有資格
- 職種経験
- 実務実績
これらの情報が蓄積されることで、技能者の実態に近い評価が可能になります。
重要なのは、短期的な成果ではなく 継続的な記録 が評価に反映される点です。
単純な年数評価ではない理由
年数だけでは技能の深さは判断できません。同じ経験期間でも、内容によって技能の質は大きく異なります。レベル制度はこの差を考慮した評価設計になっています。
複合評価の考え方
資格+経験+履歴の三位一体評価により、偏りのない技能判断が可能になります。これは現場の実態に近い評価を目指した仕組みです。
現場でレベルはどう見られるのか
レベル制度は現場の実務にも影響します。
配置判断の目安
技能水準を参考に、安全で合理的な配置が可能になります。
技能評価としての扱い
経験の可視化により、評価の公平性が高まります。
管理側の視点
元請や現場管理者は、技能情報を活用して効率的な運営を行います。
現場管理との関係は
👉 現場管理の実務ポイントはこちら
https://otokawa-gyouseishoshi.com/blog/ccus-motouke-field-management
レベル制度でよくある誤解
建設業の「建設キャリアアップシステム(CCUS)能力評価制度(レベル制度)」において、技能者や事業者、現場担当者が陥りやすいよくある誤解を整理しました。
CCUSは「登録しただけでレベルアップする」ものではなく、「登録情報をもとに申請・評価される」制度です。
1. レベル判定に関する誤解
- 誤解:登録すれば自動的にゴールドカード(レベル4)になる
- 事実: CCUSに登録(カード発行)しただけでは、初期レベルは「白(レベル1)」です。レベル2以上(青・シルバー・ゴールド)になるには、資格・就業日数・職長経験を証明し、登録更新時などに能力評価の申請をする必要があります。
- 誤解:1人親方はレベル判定を受けられない
- 事実: 1人親方でも、個人事業主として事業者登録を行えば、自身で能力評価の申請が可能です。
- 誤解:資格さえあればレベル4(ゴールド)になれる
- 事実: ゴールドカード(レベル4)には、高難度な資格だけでなく、10年(2,150日)以上の就業日数と、3年(645日)以上の職長経験という、時間的な積み上げが必要です。
2. 申請・手続き・カードに関する誤解
- 誤解:一度レベル判定を受ければ、自動でずっとそのレベル
- 事実: レベル判定は数年ごとに更新が必要であり、その時点での就業日数や技能向上状況が改めて評価されます。
- 誤解:カードの色が違っても、現場でできる仕事は同じ
- 事実: 現場の管理者や発注者は、カードの色(ホワイト、ブルー、シルバー、ゴールド)を見て技能者の熟練度を把握します。上位レベル(ゴールド・シルバー)は、職長としての指導力や専門的なマネジメント能力が求められるため、待遇や役割が明確に異なります。
- 誤解:過去に持っていた資格はすべて自動的に反映される
- 事実: CCUSの登録時に自分で保有資格情報を入力(または証明書をアップロード)する必要があります。未登録の資格はレベル評価に反映されません。
3. CCUSの目的・メリットに関する誤解
- 誤解:レベルが上がっても給料は変わらない
- 事実: レベル制度は、技能者の能力が客観的に評価され、待遇(賃金)の向上に結びつく仕組みとして設計されています。ゴールドやシルバーレベルの技能者に対して、特別な手当を支給する企業が増えています。
- 誤解:大手建設会社しかメリットがない
- 事実: 公共工事を中心に、経営事項審査(経審)の加点項目になるなど、中小企業や1人親方にとっても現場での評価・受注向上に直結するメリットがあります。
CCUSレベル制度・ここが重要(まとめ)
- レベルは「申請」が必要: 資格を取ったら自分で申請しなければレベルは上がらない。
- 就業日数の入力がカギ: 現場でのカードリーダーによる履歴が少ないと、レベルアップの審査に落ちる。
- 1人親方も対応が必要: 1人親方も事業者登録を行い、能力評価を受けることで、上位資格としての登録基幹技能者と同等の評価を受けられる可能性が出る。
※情報やシステムは2025年時点の動向に基づいています。最新情報はCCUS公式ホームページ等をご確認ください。
行政書士への相談や依頼について
レベル制度は登録情報の正確性が重要です。しかし、
- 登録内容の不備
- 履歴反映のミス
- 評価に必要な資料不足
などが起きると、本来の評価が受けられない可能性があります。
こうした制度運用の不安がある場合は、専門家に相談することで確実な対応ができます。
筆者のイーエイブル法務事務所は、建設業に特化した支援を行っています。(2026年11月開業予定)


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