建設業許可について調べていると、
多くの解説記事で「制度の説明」は見つかります。
しかし、実際に事業をしている方が本当に知りたいのは、
- 自分と似た会社は、どこで判断を間違えたのか
- なぜ「大丈夫だと思った判断」が否定されるのか
- 行政は、どこを見て線を引いているのか
という 実務の判断ライン ではないでしょうか。
この記事では、
北海道・札幌周辺で実際に起こりやすい状況をモデルに、
- A社(法人)
- Bさん(個人事業主)
- C社(事業拡大期の会社)
という形で事例化し、
北海道が公表している公式資料を根拠として
「なぜその判断になるのか」を解説します。
事例①:札幌市内で外構工事を行うA社の場合
A社の状況
- 所在地:札幌市白石区
- 形態:法人
- 業務内容:住宅の外構・舗装工事
- 従業員:3名
- 主な受注先:不動産会社・工務店
A社は、
1件あたりの工事金額が 300万〜450万円程度 の外構工事を
年間を通じて継続的に請け負っていました。
A社の判断
A社代表は、次のように考えていました。
- すべて500万円未満の契約
- 見積書・契約書も案件ごとに分けている
- 「500万円未満なら許可はいらない」と聞いた
そのため、建設業許可は不要と判断していました。
行政の判断
結論:建設業許可が必要と判断される可能性が高い
なぜか
北海道建設部の手引では、
工事の目的・場所・施工時期等から見て
実質的に一体と認められる工事は、
分割していても合算して判断する
と整理されています。
A社の場合、
- 同一の取引先
- 同一の分譲地・近接地域
- 年間を通じた継続受注
という事情から、
実質一体の工事 と評価される余地があります。
出典(読者が確認できる一次資料)
【出典】
北海道建設部「建設業許可申請の手引」
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kn/ksk/
国土交通省「建設業法Q&A(軽微な工事)」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_fr2_000009.html
事例②:内装工事を行う個人事業主Bさんの場合
Bさんの状況
- 所在地:札幌市東区
- 形態:個人事業主
- 業務内容:内装リフォーム
- 主な立場:元請・下請混在
Bさんは、
マンションのリフォーム工事を元請で請け負い、
内装工事と併せてスプリンクラー設置工事も対応しました。
請負金額は 約700万円。
Bさんの判断
Bさんは、
- 工事全体は「リフォーム」
- 内装工事がメイン
- 内装仕上工事業の許可は持っている
という理由から、問題ないと考えました。
行政の判断
結論:消防施設工事業の許可がなければ違法となる可能性
なぜか
建設業許可は、
- 工事全体
ではなく - 請け負った工事内容ごと
に判断されます。
国土交通省は、
スプリンクラー設置工事について
原則として消防施設工事業に該当する
と整理しています。
出典
【出典】
国土交通省「建設工事の業種区分の考え方」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk1_000001.html
北海道建設部「建設業許可 業種区分」
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kn/ksk/gyoushu.html
事例③:元請化が進んできたC社の場合
C社の状況
- 所在地:札幌市西区
- 形態:法人(設立3期目)
- 業務内容:設備工事
- 元請として工事を受注
- 実施工は下請中心
C社は、
1件の工事で 下請に4,000万円以上 を支払う案件を受注しました。
C社の判断
C社代表は、
- 自社施工はほとんどない
- 管理中心だから一般で足りる
と考えていました。
行政の判断
結論:特定建設業許可が必要
なぜか
一般・特定の区分は、
- 自社施工の有無
ではなく - 元請として下請にいくら出すか
で判断されます。
これは北海道建設部の手引でも明確に説明されています。
出典
【出典】
北海道建設部「一般建設業・特定建設業の区分」
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kn/ksk/tokutei.html
国土交通省「特定建設業許可の考え方」
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_fr1_000020.html
h2|まとめ|判断を誤らないための視点
これらの事例に共通しているのは、
- 悪意があるわけではない
- むしろ「普通の感覚」で判断している
という点です。
しかし建設業許可は、
感覚ではなく行政基準で判断される制度 です。
少しでも迷う場合は、
公式資料に立ち返るか、
専門家に確認することで
重大なリスクを避けることができます。
建設業許可が必要かどうかの判断は、
事業の将来に直結します。
▶次回予告
次回は、
「最初の選択を間違えると後戻りが難しい判断」
- 法人か個人か
- 一般か特定か
について、
同じく 事例+公式資料ベース で解説します。


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