担当している利用者さんから、「亡くなった後のことが心配」「家族に迷惑をかけたくない」と相談されたことはありませんか?
こうした場面でよく出てくるのが「遺言書を作った方がいいのでは?」という話ですが、実は遺言書だけでは解決できない問題も多く存在します。
特に、親族がいない、または関係が希薄なケースでは、「誰が死後の手続きを行うのか」という問題が大きくなります。このときに重要になるのが、死後事務委任契約という仕組みです。
本記事では、ケアマネジャーの方を対象に、
・遺言書と死後事務委任契約の違い
・それぞれの役割とできること
・現場でどちらを優先すべきか
を実務目線でわかりやすく解説します。
「遺言だけで安心」と思っていると見落としがちなポイントを押さえ、利用者さんにとって本当に必要な選択肢を整理していきましょう。
遺言書と死後事務委任契約は何が違うのか
高齢者支援の現場では、「亡くなった後のことをどうするか」という相談が増えています。その中でよく出てくるのが「遺言書を作った方がいいのでは?」という話です。
しかし実際には、遺言書だけでは対応できない領域があるため、正しく理解していないと支援が不十分になる可能性があります。
ここで重要になるのが、死後事務委任契約との違いです。
遺言書の役割は「財産の分け方」
遺言書は、
👉 亡くなった後の財産の分け方を指定するもの
です。
具体的には、
- 誰にどの財産を相続させるか
- 遺贈(第三者への財産の譲渡)
- 遺言執行者の指定
といった内容を定めます。
つまり、
👉 「財産の行き先」を決めるのが遺言書
です。
死後事務委任契約の役割は「手続きをやる人を決める」
一方、死後事務委任契約は、
👉 亡くなった後の手続きを誰がやるかを決める契約
です。
対象となるのは、
- 葬儀・火葬の手配
- 病院や施設の精算
- 賃貸の解約や明渡し
- ライフラインの停止
- 遺品整理
といった「実務」です。
👉 「誰が動くか」を決めるのが死後事務委任契約
なぜ遺言書だけでは足りないのか
相続人がいない・関係が薄いケース
ケアマネの現場では、
- 親族がいない
- 連絡が取れない
- 関係が希薄
といったケースが多く見られます。
この場合、遺言書があっても、
👉 実際に手続きを行う人がいない
という問題が発生します。
遺言では対応できない業務が多い
遺言書でできるのはあくまで「財産の処分」です。
一方で現場で必要なのは、
- 葬儀の手配
- 契約の解約
- 残置物の処理
といった“作業”です。
👉 これらは遺言書ではカバーできません。
「実務が止まる」というリスク
死後事務の担い手がいないと、
- 病院費の精算ができない
- 部屋の明渡しが進まない
- 遺品が放置される
といった状態になります。
👉 結果として周囲に大きな負担がかかる
どっちを優先すべきか|現場での判断基準
ケアマネとして最も重要なのは、「どちらを優先して提案するか」です。
親族がいない・頼れない場合
この場合は、
👉 死後事務委任契約を優先すべき
です。
理由はシンプルで、
👉 やる人がいなければ何も進まない
からです。
財産の行き先に明確な希望がある場合
- 特定の人に財産を渡したい
- 寄付したい
といった希望がある場合は、
👉 遺言書の作成が必要です。
実務的な結論は「両方必要」
結論としては、
👉 遺言書+死後事務委任契約のセットが基本
です。
- 遺言書 → 財産をどうするか
- 死後事務 → 手続きを誰がやるか
👉 役割が完全に分かれています。
ケアマネがやりがちなNG対応
「とりあえず遺言」で終わる
現場でよくあるのが、
👉 「遺言書を作れば安心」
という誤解です。
しかし、
👉 手続きをする人がいなければ意味がない
という点が見落とされがちです。
士業の役割を混同している
- 社労士に相談してしまう
- 司法書士だけに頼る
といったケースも見られます。
👉 実務設計まで含めて対応できる専門家が必要です。
行政書士と連携するメリット
全体設計ができる
行政書士は、
- 遺言書の作成支援
- 死後事務委任契約の設計
- 生前契約との組み合わせ
を一体的に設計できます。
実務まで見据えた提案ができる
単なる書類作成ではなく、
👉 「実際に回る仕組み」を作ることができる
のが強みです。
ケアマネの負担軽減につながる
死後の対応が整理されていることで、
- トラブル対応の減少
- 関係機関との調整負担の軽減
につながります。
実務での動き方|ケアマネの役割
STEP1 利用者の不安を把握する
- 死後のことが心配
- 迷惑をかけたくない
👉 こうした発言がサインです。
STEP2 選択肢を提示する
- 遺言書
- 死後事務委任契約
👉 「こういう方法があります」と伝える
STEP3 専門家につなぐ
ケアマネの役割は、
👉 契約をさせることではなく、適切につなぐこと
です。
まとめ|「財産」と「手続き」は別物と考える
遺言書と死後事務委任契約は、
👉 似ているようで役割がまったく異なる制度
です。
- 遺言書 → 財産の行き先
- 死後事務 → 実務の担い手
この違いを理解していないと、
👉 「準備したのに現場が回らない」
という事態が起こります。
ケアマネとして重要なのは、
👉 両方をセットで考える視点
です。
利用者さんの不安を本当に解消するために、
「誰が何をやるのか」まで踏み込んだ支援を意識していきましょう。

