就労継続支援B型において「送迎加算」は、多くの事業所が取得可能でありながら、正しく理解されていない加算の一つです。
・とりあえず送迎しているから算定している
・要件を正確に理解していない
・記録が不十分で監査リスクがある
・収益としてどの程度のインパクトがあるかわからない
このような状態のまま運用している事業所は少なくありません。
しかし実際には、
👉 要件を満たしていないと返還リスクがある
👉 記録不備で加算が否認される
👉 正しく設計すれば安定収益になる
という、「取りやすいがリスクもある加算」です。
本記事では、
・送迎加算の制度の基本構造
・具体的な算定要件と対象者
・実務での判断基準
・収益シミュレーション(規模別)
・運用フローと記録のポイント
・監査で見られるチェック項目
までを、実務ベースで徹底解説します。
「なんとなく取る加算」から、
「確実に収益を生む加算」へ。
送迎加算を安全かつ最大限活用するための完全ガイドです。
送迎加算とは何か|「移動支援」ではなく“通所支援のインフラ”
就労継続支援B型における送迎加算は、単なる「送り迎えの対価」ではありません。
制度上は、
👉 利用者の通所機会を確保するための支援
👉 継続的なサービス利用を可能にするための基盤
として位置付けられています。
つまり、
・通えない人を通わせるための支援
・通所継続率を高めるための仕組み
これが本質です。
なぜ送迎加算が重要なのか
送迎加算は、他の加算と比べて
・取得難易度が低い
・対象者が多い
・安定収益になりやすい
という特徴があります。
特に地方や郊外では、
👉 送迎=利用継続の必須条件
となっているケースも多く、
送迎体制の有無が
・利用者数
・稼働率
・収益
に直結します。
一方でリスクも高い加算
しかし実務では、以下のような問題が非常に多いです。
【よくあるNG】
・「送っているからOK」という認識
・記録がない(運行記録・利用記録)
・対象者の条件を確認していない
・片道のみでも算定している
・実態と記録が一致していない
この状態だと、
👉 加算返還
👉 指導対象
👉 悪質なら指定取消
のリスクがあります。
送迎加算の基本要件と算定ルール
ここからは制度上の要件を整理します。
送迎加算の基本構造
送迎加算は、
👉 1日単位で算定
👉 利用者ごとに算定
される仕組みです。
算定の基本条件
送迎加算を算定するためには、以下の条件を満たす必要があります。
① 事業所が送迎を実施していること
・自社車両または委託
・事業所の責任で運行
👉 個人送迎(家族送迎)は対象外
② 自宅等⇔事業所間であること
対象となるのは
・自宅
・グループホーム
・指定された生活拠点
👉 途中送迎・別地点は要注意
③ 原則として往復送迎
多くの自治体では、
👉 「往復」が原則
片道のみの場合は、
・理由の明確化
・自治体判断
が必要になるケースがあります。
④ 利用実績と一致していること
ここが最重要です。
・送迎した日
・実際に通所した日
・サービス提供記録
👉 すべて一致している必要あり
単位数のイメージ(参考)
※年度や地域で変動あり
| 区分 | 単位 |
|---|---|
| 送迎加算 | 約20〜40単位/日 |
👉 札幌市(7級地 約10.17円)での試算
例:30名 × 20日 × 30単位
= 約183,000円/月
👉 年間約200万円規模の収益になる可能性あり
送迎加算の対象者と判断基準
基本的な考え方
送迎加算は、
👉 「通所が困難な利用者への支援」
が前提です。
対象となるケース
【典型例】
・公共交通機関が使えない
・身体障害・精神障害により移動困難
・家族送迎が困難
・距離的に通所が難しい
グレーゾーン(注意)
以下は要注意です。
・送迎がなくても通える人
・利便性だけで利用している人
・短距離(徒歩圏)
👉 「必要性」が説明できないとNG
判断のポイント
重要なのは
👉 “合理的説明ができるか”
です。
判断フレーム
① 通所困難性はあるか?
② 他手段はあるか?
③ 継続利用に必要か?
👉 この3点で説明できればOK
収益シミュレーション(規模別)
ここが経営的に重要です。
前提条件
・利用者数:20〜40名
・開所日数:20日
・単位:30単位
・地域単価:10.17円
ケース① 小規模(20名)
20 × 20 × 30 × 10.17
= 約122,000円/月
👉 年間 約146万円
ケース② 中規模(30名)
30 × 20 × 30 × 10.17
= 約183,000円/月
👉 年間 約220万円
■H3:ケース③ 大規模(40名)
40 × 20 × 30 × 10.17
= 約244,000円/月
👉 年間 約290万円
重要な視点
送迎加算は
👉 「人数に比例して伸びる」
つまり、
・稼働率UP
・利用者確保
とセットで考えるべきです。
送迎加算の運用フロー(実務)
ここからが実務の核心です。
運用フロー
① 対象者の判断
↓
② 送迎ルート設計
↓
③ 運行実施
↓
④ 記録作成
↓
⑤ 請求
↓
⑥ 点検・監査対応
必要な記録(超重要)
以下は必須です。
【必須書類】
・送迎記録簿
・運行ルート表
・利用実績記録
・サービス提供記録票
・運転者記録
👉 これがないと100%アウトです
監査で見られるポイント
【チェックされる項目】
・実際に送迎しているか
・対象者の妥当性
・記録の整合性
・頻度・回数の妥当性
👉 一番多い指摘
「記録と実態が一致していない」
まとめ
送迎加算は
・取りやすい
・収益性が高い
・しかしリスクも高い
という加算です。
重要なのは
👉 要件理解
👉 記録整備
👉 実態との一致
です。
