【入門編】経営事項審査はどんな流れで進んでいくのか?実際のスケジュール感を解説。

建設業の経営事項審査について、実際のスケジュールを解説する記事のアイキャッチ画像 建設業許可

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前回の記事より、
建設業を営む方が公共工の入札に参加するために必須の経営事項審査(経審)について、
入門編としてまずは大まかな内容と入札までの流れについてザックリと説明いたしました。

前回の記事をまだお読みでない方はこちらからどうぞ。

【入門編】経営事項審査とは何か?建設業許可との関係と全体像をわかりやすく解説
経営事項審査(経審)とは何かを、建設業許可・決算変更届との関係から分かりやすく解説。公共工事を目指す建設業者や新人行政書士向けに、全体像と手続きの流れを整理した入門記事です。

さて今回の記事では、
入門編の②として特に「流れ」の部分にのみ焦点を当てて、
会社の決算期から入札に至るまでの段取りについて、
実際のスケジュール感を理解できるように説明をしていきたいと思います。

これを把握することで、
1年間という会社の動きの中で経審を理解することが出来ますので、
非常に有益な情報になると思います。

どうぞ最後までお読みください。

前回の記事でもお話ししましたが、
建設業を営む会社さんが、
「建設業許可」を取得した後に、
自治体の公共工事の入札にチャレンジしたいと思った時は、
一般的には以下のような流れになります。

流れ

そもそも公共工事に入札するためには、
入札の参加資格を得るために「資格申請」を自治体に対して行い、
要件が満たされていれば、
自治体から参加資格を与えてもらうことが出来ます。

この資格を得てからじゃないと、
どんなに頑張っても公共工事を受けるどころか、
入札に参加する事さえできません。

では、
実際にどのような段取りを組んで資格取得までたどり着けばよいのでしょうか?

具体的な内容を以下に説明していきます。
初めてご覧になる方は「なんのこっちゃ?」となると思いますので、
斜めに読んでいただいて結構です。

① 通常の会社の決算を作成 ⇒ 税理士さん
② 決算変更届の作成 
⇒ 多くの場合、行政書士(自社でされる方もいます)
③ 経営状況分析を行う 
⇒ 第三者機関に依頼(決算変更届を添付)
④ 経営状況分析の結果通知を受け取る 
⇒ Y点が通知される
⑤ 決算変更届を提出 
⇒ 行政に出す
⑥ 経営事項審査を申請する 
⇒ 行政に
出す
⑦ 審査結果を受け取る 
⇒ P点が通知される
⑧ 入札参加資格の申請を出す
 ⇒ 自治体
⑨ 参加資格が下りる
⑩ 公共工事の公募が出たら入札に応募する
⑪ 入札に当たり公共工事を受注する

うへ~大変だなこりゃ?と思われましたか?

その感覚は正しいです。
公共工事への入札は、決して楽な道のりではありません。
時間も労力もお金もかかります。

入札に参加したからと言って、
必ずしも工事を受注できるとも限りませんし、
要件を満たしていないと永遠と受注できないこともあります。

それでも、
会社の安定系系の柱の1つとして考えたときに、
公共工事を受注するメリットは大きいと言えます。

苦労を乗り換えて、
会社をどう成長させていきたいのかということだと思います。

では、
その苦難の道のりは、
何をどう乗り超えていけばよいのでしょうか?

次のセクションから1ステップずつ詳しく見ていきましょう!

まず始めに、
「決算変更届」と「決算書」は違うのか?という疑問から解決していきましょう。

結論から言うと、
「決算変更届」と「決算書」はノットイコールです。似てるけど別物。

◆通常の決算書
通常、事業年度末に作成するものを「決算書」や「決算」と言いますよね?
貸借対照表や損益計算書の事です。

多くに会社さんでは、税理士さんがやってくれることが多いと思います。
決算日からだいたい1~2か月で作成されます。

◆決算変更届
一方で決算変更届とは、
建設業許可を取得した会社は漏れなく、
事業年度終了後の4ヵ月以内に「建設業許可用に作り直した決算書」を作成し、
許可行政庁に提出しなければいけません。

「変更届」という名称ですが、
変更がない場合でも必ず毎事業年度末に作成して提出しなければなりません。

建設業許可を1つでも取得している会社であれば、
毎事業年度終了後に必ず作成・提出します。
これが滞っていると、
5年ごとの許可の更新申請が出来なくなります。

自社で作られる会社さんもありますが、
ほとんどは行政書士に依頼することが多いですね。

公共工事の受注のために経審を受けるのであれば、
まずはこの決算変更届を作るところから始めます。

ただし、
ちょっとしたコツがあって、
この次に説明する「経営分析」との関係で、
決算変更届は「作ってもまだ許可行政に出さない」ほうが良いです。

行政書士によっては、
「どっちでも大丈夫ですよ」という事務所もありますが、
可能であれば先に経営状況分析を終えてから出せると良いと思います。

なぜかというと、
経営状況分析を第三者機関に依頼する際に、
財務諸表も書類として添付します。

その後、
分析機関が中身を見て何事も無ければY点というものが算出されるのですが、
もし財務諸表に修正が必要になったときには、
既に決算変更届を出してしまった場合には、
再び修正変更をしなければいけなくなります。

これは面倒ですので、
締め切り日に余裕があるのであれば、
決算変更届はギリギリまで出さずに、
分析機関から無事にY点の結果通知が届いてから行政に提出するのが良いと思います。

ただ、
どうしても決算変更届の方が先に提出期限を迎えてしまうことが多いと思いますので、
実際には並行して進めることになるでしょう。

決算変更届(財務諸表)が作成出来たら、
その書類を使って次は経営状況分析という手続きに進みます。

この経営状況分析という手続きは、
「Y点」を算出するために行われる分析です。

Y点が何かは別記事で詳しく解説しますのでそちらをご覧いただくとして、
簡単に説明すると、
入札に参加する資格を得るためには、
会社は数値で客観的に会社について評価をしてもらう必要があります。

これ、なんでこんなことをするのかというと、
公共工事には色々な規模がありますよね?
国が発注するような大規模工事もあれば、
地元の自治体が発注するような中学校の音楽室の防音工事みたいなものもあります。

受任する事業者がその工事を元請けとして行うためには、
例えば国の工事のような数百人体制で下請けを出してやらなければいけない工事に、
2~3人しかいないような事業者が応募しても困ってしまうわけです。

工事の規模と事業者の規模のミスマッチを防ぐためにも、
事前に会社規模や技術者要件などに即して客観的に点数をつけることによって、
その工事に適正規模の会社が応募するような仕組みが出来ているというわけです。

その時に使われる点数の事を、
通称「P点」または「総合評定値」といいます。

で、
このP点を計算するときに、
会社を色々な角度から分析評価して各項目点数を合計して算出しますので、
その項目のうちの1つにY点というものがあると思っていてください。

Y点自身も、
色々な項目の点数を合計して出しているのですが、
今は割愛します。

さて、
このY点は誰がどうやって計算して出すのかという話をします。

現在のところ、このY点を算出するためには以下の2つの分析機関のうち、
どちらかに会社の分析をお願いすることになります。
いわゆる第三者機関ですね。
国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関は次のとおりです。

【経営状況分析をする第三者機関】
(令和7年1月現在)

  • (一財)建設業情報管理センター
  • (株)マネージメント・データ・リサーチ
  • ワイズ公共データシステム(株)
  • (株)九州経営情報分析センター
  • (株)北海道経営情報センター
  • (株)ネットコア
  • (株)経営状況分析センター
  • 経営状況分析センター西日本(株)
  • (株)NKB
  • (株)建設業経営情報分析センター

一番有名どころで言えば、
「建設業情報管理センター」か「ワイズ公共データシステム」でしょう。
北海道にも分析センターがありますね。

分析には料金が必要で、
分析機関によってプランの設定や結果が出るまでの日数をどれだけ早くできるのかなどによって若干金額が変わってきますが、
概ね13,000円~くらいになります。

この料金は経審を受ける会社さんで負担します。
行政書士に依頼する場合でも、
報酬とは別に請求されます。

あと、
分析を依頼する際に必要となる各種書類については、
国土交通省が以下のリンクで提供先などをまとめていますので便利です。

【経営状況分析申請用書類:国土交通省】
申請書類等のダウンロード
https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000193.html

【必要書類】
・経営状況分析申請書 
・兼業事業売上原価報告書
・経営規模等評価申請書
・経理処理の適正を確認した旨の書類
・建設業の経理が適正に行われたことに係る確認項目
・CPD単位を取得した技術職員名簿(技術職員名簿に記載がある者を除く)
・技能者名簿
・就業履歴を蓄積するための措置を実施した旨の誓約書

以下のサイトにおいて、申請書類の作成が可能なソフトが無料で利用できます。
(各機関の申請書類作成ソフトのページへ移動します)

◇一般財団法人建設業情報管理センター
https://www.ciic.or.jp/analysis/soft/keishinplus/

◇ワイズ公共データシステム株式会社
https://www.wise-pds.jp/support/download_system_ez.htm

◇株式会社NKB
https://www.e-nkb.jp/

おすすめは上2つでしょう。
書類に不備が無ければ、
通常5営業日程で通知が届きます。
4万弱支払えば即日発効ということも可能だったりしますが、
初めての申請の場合や修正が必要になってくると、
2種間程度かかることもありますし、
決算変更などの状況によってはさらに時間を要する場合もあるため、
余裕をもって申請することが必要になります。

さて、
無事にY点が届きましたので次の手続きに移りましょう。

いよいよ山場です。
といっても、さほど難しいことはありません。
Y点とその他必要書類をそろえて、
今度は行政庁に申請を出します。

この申請は、
「会社を客観的に評価して点数を付ける」ためのものです。
ポイントは「客観的な点数」ということ!

つまり、
どこの誰がみても、どの会社と比較しても同じ土俵で比べることのできる数値という意味です。

なので、
「全国共通の評定値」となります。

この総合評定値(P点)を行政に出してもらうために会社の経営について審査されるが、
経営事項審査なのです。

P点については別記事で改めて詳細を解説しますが、
いまはP点を計算するための式だけお伝えします。
先程のY点が出てくるので、「ああそうなんだ」と思うくらいでOKです。

【P点の公式】
P= X1×0.25 + X2×0.15 + Y×0.2 + Z×0.25 + W×0.15

XやY、Z、Wが会社の色々な経営内容について以下に表しおきますが、
今はなんとなく眺めるくらいで充分です。

【P点の構成要素】
P点は5つの指標から計算されます。

X1:完成工事高(経営規模)
X2:自己資本・利益額(経営規模)
Y:経営状況分析(財務状況)
Z:技術職員数・元請高(技術力)
W:社会性・その他(労働環境・法令遵守)

特に重みが高いのは完成工事高(X1)と技術力(Z)で、全体の25%ずつを占めます。

【P点の点数区分】
公共工事の入札における一般的な目安は以下のようになっています。

900点以上:Aランク(上位、大手企業)
700~799点:Bランク(中堅クラス)
600~699点:Cランク(中小規模、平均的)
500~599点:D~Eランク(小規模・新規)

ただし、このA~Eのランクは、レベル感をつかむための「目安」だと思ってください。
総合評定値で大事なのは数字の方です。

さて、
これで全国共通の客観的な評定値であるP点が手に入りました。
ちなみに、
後で解説しますがこのP点には「有効期間」がありますので、
一生モノではありません。

では、
いよいよ入札に参加するための資格をもらうための審査を受けに行きましょう!

ここで一度、
「なんの手続き」を「どこに出すのか」を改めて整理しておきましょう。

流れ

決算変更届は許可行政庁に出します
経営状況分析は、ワイズなどの民間の分析機関に依頼します
経審は許可行政庁に申請します
そして、
入札参加資格の申請は、入札を希望する各自治体に申請書を提出することになります。

では、
北海道が行う公共工事の入札参加資格の申請は道庁なのか?

これは専用のポータルサイトが用意されています。

【北海道の入札参加資格申請】
一般財団法人 北海道建設技術センター
https://www.hoctec.info/kyoshin/

また、道庁のHPにも案内があります。
https://www.pref.hokkaido.lg.jp/kn/ksk/212029.html

確認しておくとよいでしょう。

ちなみに、
公共工事を行う自治体レベルで申請をすることになりますので、
例えば、
札幌市での工事に入札したいのであれば札幌市に入札参加資格の申請をしますし、
北広島市なら北広島市に入札参加資格の申請をします。

そして、
各自治体から参加資格がおりてくるということです。

ですので、
道のやる工事も参加したいし、札幌市や北広島市、恵庭市、千歳市となれば、
それら全ての自治体に対して申請をするということになります。

以上。
ここまでが手続きの流れでした。

では、
これを踏まえて、あなたの会社のスケジュール感ではどんな流れになるのでしょうか?
今回の記事のメインの部分についてお話いたします。

まず前提として、
あなたの会社の決算が3月だと仮定します。

スケジュール

通常の決算を税理士さんが作成します。
これを基に建設業許可用の決算変更届を作成しますが、
〆切は決算の3月から4ヵ月以内ですので7月までに許可行政庁に提出しなければなりません。

あなたの会社の場合、
7月までが決算変更届の〆切となります。

税理士さんがつくった決算のデータを、
我々行政書士がお預かりするのがだいたい1~2か月後の5月頃。
そこから建設用の財務諸表を作り、
経営状況分析機関に依頼をしてY点を取得し、

「経審」の申請を出すのが8月でしょう。
審査が終わるのに1か月程度かかりますので、
手元にP点の通知が届くのは9月頃です。

P点には「1年7か月」の有効期間があります。

有効期間の起算日はどこから?
答えは、
「決算日」から1年7か月間がP点の有効期間です。

勘違いしやすいのは、
・P点が通知されたときや、
・経審の申請をした時
と思ってしまう方がいますがそうではありません。

もう一度言いますが、
「P点の有効期間は決算日から1年7か月間」です。

あなたの会社の場合は、
3月が決算月なので翌年の10月までがあなたの会社のP点の有効期間です。

ですので、
翌年の10月までの間に再び経審を受けない場合、
あなたの会社のP点は失効し、
10月以降は公共工事に入札参加することができなくなります!

「うっかり失効」することはないと思いますが、
十分に注意は必要です。

以上が入札までの実際のスケジュール感についての説明です。

今回の記事では、
建設業許可を取得した後に、
自治体の公共工事に入札参加したいとなった場合、
どのような準備が必要になるのか、
実際のスケジュール感はどんなものなのかを詳しくお話いたしました。

具体的には以下の流れでした。

1.通常決算
2.建設業許可用の決算変更届の作成と提出
3.経営状況分析の依頼とY点の取得
4.経営事項審査の申請とP点の取得
5.入札参加申請と参加資格の取得
6.入札に参加
7.落札できれば工事受任

工事規模は自治体によって様々ですし、
実際に工事が発注されない業種もありますので、
現実として入札を目指すのかどうかはまた別の話しとなります。

まずはここまでをご理解いただけたかなと思います。

もし、より詳しいことをお知りになりたい、
ご自身の会社ではできそうなのかを相談したいということであれば、
是非一度筆者の事務所にご相談ください。

次の記事では、
気になる「Y点、P点の仕組み」について深堀していきます。

ぜひご一読下さい。

また、
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