建設業の許可に違反したらどうなるのか。
どこまでが違反で、どこまでがセーフなのか。
今回はそのラインを徹底解説します。
前回の記事では、「建設業許可の29業種」について、すべての業種の仕事内容を解説しました。
しかし、そこまで理解しても、
「で、結局うちの会社には許可はいらないんじゃない?」
と思われる方も多いかもしれません。
ですが、その判断はちょっと待ってください。
許可が必要かどうかを、
「税込請負金額500万円」というイメージだけで判断してしまうと、
思わぬ落とし穴にはまってしまうことがあります。
気付かぬうちに建設業法違反となってしまうケースも、実は少なくありません。
どこまでがセーフで、どこからがアウトなのかを、具体的に理解しておく必要があります。
万が一、実際に法令違反となってしまった場合、
どのような罰則を受ける可能性があるのかを把握しておくことも、
経営者として重要な知識ですよね。
また、
500万円基準に満たない場合でも、
「経営的なメリット」を考えると、あえて許可を取得した方が良いケースもあります。
今回の記事では、
- 建設業法違反となるライン
- 罰則の内容
- 違反を防ぐための考え方
- 許可を取得する副次的なメリット
について解説していきます。
■改めて建設業許可とは?
以前の記事でも触れていますが、
重要な点なので、ここで簡単におさらいしておきましょう。
【建設業許可が必要になるライン】
★ 税込の請負金額が500万円以上 ★
このラインを超える工事は、
建設業許可を受けた個人事業主または法人のみが契約することができます。
つまり、
建築一式工事以外で、1件の税込請負金額が500万円未満の軽微な工事であれば、原則として許可は不要、という考え方です。
ただし、
この「500万円ルール」を誤って理解し、
知らないうちに建設業法違反となってしまう事例は実際に存在します。
北海道でも、過去にそのようなケースがありました。
では、
こうした違反につながる「勘違い」は、どこに原因があるのでしょうか。
次の章では、
「500万円基準」の解釈について詳しく説明していきます。
■500万円基準の詳細
それでは、500万円基準の具体的な中身について、
4つのポイントに絞って説明していきます。
税込価格
まず気を付けるべき点は、
基準となるのは税込価格であるということです。
当たり前のように見えますが、
うっかり見落としてしまうケースも少なくありません。
例えば、
税抜480万円で受注した場合、
消費税を含めると528万円となり、アウトです。
また、
「500万円以上」なので、
税込500万円ちょうどでも許可が必要になります。
分割受注
許可がないからといって、
- 500万円の工事を
- 300万円
- 200万円
のように分割して受注するのは、完全にアウトです。
※ただし、工事内容・場所・時期などが客観的に別工事と認められる「正当な理由」がある場合は例外です(建設業法施行令)。
【理論上、分けてOKとなる可能性があるケース】
- 工種がまったく異なる独立した工事
- 工期・施工場所が明確に区分されている工事
ただし、これらの判断は行政側の裁量が大きく、
形式ではなく実態で判断される点に注意が必要です。
同一発注者から複数回受注した場合の考え方
この部分は特に判断が難しく、
トラブルになりやすいため、詳しく説明します。
✔ 異なる発注者(A社・B社など)
発注者が異なれば、それぞれ別の契約として扱われます。
各契約が500万円未満であれば、
合算せず、許可不要となるケースもあります。
ただし、
工事内容や場所が密接に関連する「一体工事」の場合は、
総合的な判断がされる可能性があります。
✔ 同じ発注者(A社)から複数回受注したケース
同じA社から断続的に複数の工事を受注し、
合計額が500万円を超える場合は注意が必要です。
契約ごとに独立しているかどうかで判断されますが、
「同一発注者・似た内容・近接した時期・同一現場」などの場合、
行政が実質的に一連の工事と評価することがあります。
短期間に同種工事を繰り返し受注している場合は、
特にリスクが高まります。
法令上の判断ポイント(実務上の運用)
行政は、次のような点を総合的に判断します。
| 判断要素 | 例 |
|---|---|
| 工事の目的・内容 | 地盤改良と外壁工事など明確に異なるか |
| 施工場所 | 同一現場かどうか |
| 契約内容 | 工事範囲が独立しているか |
| 施工時期 | 時期が完全に分かれているか |
| 管理体制 | 工程管理が一体か |
■注文者からの材料などの提供
注文者から提供された材料や機械本体の価格、
および輸送費は、請負金額に含まれます。
例:
- 工事代金:250万円
- エレベーター本体:250万円
- 輸送費:50万円
合計550万円となり、許可が必要です。
■注文者からの機械の貸与
一方、
工事用機械を注文者から貸与された場合、
その費用は請負金額に含めません(損料扱い)。
■無許可営業の罰則
無許可で500万円以上の工事を請け負った場合の罰則は以下のとおりです。
■刑事罰
- 行為者:3年以下の懲役 または 300万円以下の罰金
- 法人:1億円以下の罰金
両罰規定のため、個人と法人の両方に罰則が科されます。
■行政処分
刑事罰とは別に、
指示処分・営業停止・許可取消処分が下される可能性があります。
■欠格期間
罰金刑を受けると、
その後5年間は建設業許可を取得できなくなります。
■許可を取るタイミング
重要なのは「請け負う」という言葉です。
契約を結んだ時点で「請け負い」が成立します。
つまり、契約前に許可を取得している必要があります。
■許可取得の経営メリット
500万円以上の工事を請け負わないとしても、
許可を取得することで、
次のようなメリットが期待できます。
■メリット1 受注の幅が広がる
本末転倒のように聞こえるかもしれませんが、
許可を取得することによって、
受注できる幅が広がるようになります。
「だからうちの会社は小さいから受けられないの」
と考えるかもしれませんが、
前セクションで説明した、
「同一業者から連続受注」した場合の合計額が
500万円を超える場合の違法適法の判断は、
全て行政の裁量によることもあります。
1件で500万を超える受任はなくとも、
お得意様からのチリツモでも
安心して受けられるというのは
経営リスクの回避という点で大事だとは思います。
また、
ビジネスチャンスを逃しにくくなるということも大きいと思います。
ただ、
そうはいってもやはり、
許可を取得するには、もちろん費用が掛かります。
なので、
ホイホイと簡単に許可取得を進められるものでもありません。
■メリット2 公共工事の入札に参加できるようになる
業種ごとの許可を取得しておけば、
国や地方自治体の行う公共工事にも参加することが出来るようになります。
ご存じの通り、
公共工事は安定した収入源になることが多いです。
■会社の信頼度アップ
これもビジネスチャンスの獲得につながります。
許可を持っていることにより、
お客様からの信頼度の向上につながります。
最近では、
500万円以下の工事であっても、
「許可を持っている会社にしか発注しない」という注文者も増えてきましたよね。
時代の流れが変わりつつあります。
つまり、
500万円問う「金額の制限」以上に、
仕事のチャンスが大きく広がるということなんです。
ついでにいうと、
このように信頼度がアップするので、
銀行からの融資も受けやすくなります。
融資を受けられれば、
事業拡大の強い味方になってくれますし、
なにより、
事業を長く続けていくことが出来ますよね。
このように、
単に500万円ラインを超えるからということだけでなく、
許可を持っていることにより、
会社の価値が上がり、
長期的に安定した経営を続けていくことが可能になります。
■まとめ
500万円基準は単純な金額判断ではありません。
実態を正しく理解し、リスクを避けることが重要です。
■次回予告
さて、
それでは許可を取るためには、
「実際にどんな要件をクリア」しなければいけないのでしょうか?
逆に、
そこが一番気になるところですよね。
ということで、
次の記事では、
「建設業許可を取得するための実際の要件」
について深堀していきます。
ぜひご一読下さい。
また、
記事の内容についてお問い合わせや、
建設業許可取得についてお問い合わせは、
飛車の事務所「イーエイブル法務事務所」のホームページよりフォームにてご連絡ください。
土日祝日、夜間も柔軟に対応しております。


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